よいセミナー、だめなセミナー

よいセミナー、だめなセミナー

■よいセミナー、だめなセミナー■

久しぶりに開催した昼のビジネス雑談サロン。
またまた、いろいろな学びがありました。
テーマは表題の通り「よいセミナー、だめなセミナー」。

私自身はいわゆるセミナー営業はほとんどやっていません。
弊社のターゲットが個人ではなく大手法人であることもあり、個人向けセミナーを開催しても、ほとんど営業にはつながらないからです。
雑談サロンのような相互での情報交換であれば、私も得られるところが多く、開催する意味はあるのですが、格安価格での開催が余儀なくされるプロモーション型のセミナーはどうも割に合わないと考えていました。
セミナーよりもYouTubeへの動画配信のほうがはるかに効果があるため、現在はそちらにシフトしているのは、皆さんご承知のとおりです。

ただ、セミナー営業の方法が間接的に、自分や自分のクライアントのマーケティングや営業に役立つことも多いと思います。
また、コンテンツの作り方や話し方についても得られるところがあるかな…と思い、今回は思い切って

「よいセミナー、だめなセミナー」

というテーマで開催してみました。

ディスカッション中にふと気づいたことがあるのですが(この気付きが雑談の最大の魅力なのですが)、私は最近、本業の派生業務…いわゆる、

「自分は専門家ではないのだが、クライアントの要請でやむなく引き受ける業務」

が増えています。

「専門家の方に頼んでくださいよ」

とお断り申し上げても、

「そう言わずに。うちの会社のことよくわかっている竹永さんに話してもらったほうがいいんだよ」
「一から専門家の方に僅かな時間だけ来てもらうわけにはいかないでしょう。30分だけでいいからさ、◯◯について軽く解説してよ」
「誰も引き受けてくれないんだよ。何とかお願いできませんかね」

と説かれ、お引き受けすることになることが多いのです。

マーケティング的な言い方をすれば、

「範囲の経済」

というやつです。
以前に私が、

「ブラックホール効果」

と呼んだマーケティング上の現象でもあります。

あまり得意ではない分野(非専門分野)について人前で

「お金を頂いて」

話さなければならない…というのは、経験者の方ならわかると思いますが、けっこうな重圧です。

で、そんな場合に必ずといって私が用いる方法が、

「事前アンケート」

なのです。

聞き手の皆さんが何について知りたいのか、こちらが予め十分にサーチしておけば、自ずとその対応も可能になるわけです。

専門分野ならば、

「このへんが話の肝だろう」

ということは概ねわかるのですが、非専門分野だと、そのあたりの

「湯加減」

がわからないわけですよね。

なので、

「事前アンケート」

は講義・講演の際の不可欠な…そう…いわば。「生命線」になるのです。

もちろん、これは、やむを得ない状況を打破するための、

「苦肉の策」

なのですが、実はこれが成功の秘訣。

講義終了後にアンケートを取ると、

「今回はよかった」
「聞きたいことが全部聞けた」
「ツボにはまった」

となる確立が高まるわけです。

「続編が聞きたい」

という声もいただくことがあるのですが、これは丁重にお断り笑

「馬脚を現す」

前に、別なテーマ(できれば本業)に移りたいものですからね。

あ、ちなみに、非専門分野について話すときには、質疑応答の時間は設けません(笑)

「皆さんの質疑、お受けしたいんですが、飛行機の時間が近づいているので、あとはメールでやりとりさせてください」

が、

「殺し文句」

です。これまた、「馬脚を現す」前に「トンズラ」するための秘策なわけです笑

後日、メールでのやりとりであれば、いくらでも時間的モラトリアムが発生しますからね。

さて。
この「苦肉の策」。
実は、今日の雑サロ中に、ふと思ったのが、事前アンケート方は、専門領域について講義する場合にも有効ではないかというアイディアでした。

専門家が自分の領域について講義を行う際には、普通、事前アンケートは用いずに、

「俺の理論」
「私の見解」

を延々と話してしまうものです。

時間の許す限り、第一章第一節大項目1の(1)から壮大な流れで、自説を展開してしまうわけです。

実は私もそうなのです。

「中小企業診断士の学習法」
「事業戦略構築の基本ステップ」
「2社比較価値連鎖による新商品開発」

について話してくださいと言われれば、大抵の場合、

「出来合いのスライド」

を使って、

「普段通りに」

話してしまいます。
もう、パターンがありますからね。
それにそって話してしまえばよいわけです。

仮に、途中で、

「皆さんのノリが悪いなあ」

と思えば、空気を変える手法をいくつも知っていますので、それらを使って

「対処療法」

は試みることはできます。
この道、15年以上飯を食っていますので、それくらいの対処療法は、十分に心得ているつもりです。

しかし。そこには、

「予防療法」

を講じようという頭はないわけですよ。

対処療法すら講じようとしない専門家の方々よりはまだましだと思いますが、本来、

「予防療法」

を講じようという頭が、本当は一番大切だと思います。

「事前アンケート」という一見何の変哲もない、イノベーションの「イ」の字も感じられないような手法こそが、実は、救世主なのです。まさに、

「灯台下暗し」

そのものです。

ところで。
非専門的分野において講義をする際であっても、

「キラーコンテンツ」

は必要です。

「これだけは皆さん、今日知ってよかったでしょう?」

と思っていただけるような、講義の山場となる知識・情報・技術です。

それがなく、ダラダラと知識を話すだけでは、ほとんど誰の記憶にも残らない講義になってしまいますからね。

むしろ、専門分野ではないからこそ、必要なのでしょうね。

で、この

「キラーコンテンツ」

なのですが、最近、3つの条件があることに気づきました。

それは、

「楽」「簡単」「長寿」

という3つです。

まずは、

「楽」

というキーワード。

「皆さん、この方法を覚えて帰ると明日から楽ができますからね」

という知識です。

次が

「簡単」

というキーワード。

「複雑な訓練は不要。重厚長大なマニュアルも必要ありません。すぐに覚えられますからね」

という情報です。

最後が

「長寿」

というキーワード。

「一度覚えていただければ、長期に渡り、この方法を使い続けることができますからね」

という技術です。

いかがですか?

「楽」「簡単」「長寿」

この3つの条件の積集合にあたる知識・情報・技術こそが、セミナーの

「キラーコンテンツ」

になるのです。

具体的にあげるのは、さすがに、企業秘密なので控えさせていただきますが笑…
たとえば、先ほどの

「事前アンケートをとりましょう」

という提案。

これって、実は3つの要素をすべて満たしているんですよ。

① 「楽」
まずは、「楽」ができます。
これって、やればやるほど、「楽」に講義を進めることができるようになります。なぜなら、途中から対処療法で空気の流れを変える対処療法よりも、ずっと楽ですからね。

② 「簡単」
しかも、いたって「簡単」。
アンケート用紙なんかなくてもいいんですよ。極端な話、最初の休み時間に聞き手の皆さんに「白紙」を回して書いてもらって、次の休み時間に読んで、構成を変えてしまえばよいわけですから。
もちろん、事前にしっかりとしたアンケートが取れればいうことないですが。とれないからといって諦める必要はないわけです。

③ 「長寿」
そして、「長寿」。
おそらく、この方法。20年後も通用すると思います。
iPhoneのアプリでちょいちょいっっと仕事が楽になる…というのとはレベルが違う技術なんですよね。

「楽」「簡単」「長寿」

にもかかわらず、今まで誰も注目してこなかったようなこと…これをセミナーの中で話すことができれば、間違いなく、セミナーは大成功するはずです。

「灯台下暗し」

こそ、キラーコンテンツの究極なのでしょうね。

至ってシンプルな提案ゆえ、

「なんだ、そんなことか」

と思う方も多いと思いますが、それは私との大きな違いです。

私はこの方法を知ったのはもう20年近く前のことですが、

「うわ! これは本質だ!」

と直感しました。
大げさに言えば、

「この20年間に聞いたあらゆる知識・情報・技術の中で最高のものの1つだ」

と今も思っています。

「楽」「簡単」「長寿」

ゆえに、私は20年の長きにわたり、この方法を採用してきたのだと思います。

このアイディアに比べれば、

「事前に予習をしっかりしてアガリを防止しましょう」
「アイコンタクトは大切に! 会場全体の人にジグザグに視線をめぐらしましょう」
「このアプリを使うと、講義項目の体系図が簡単に描けます

といったアイディアは、枝葉末節なものです。
前者は一種の精神論。誰でもわかる当たり前の論理です。丹念な予習は時間がかかりますから、全然「楽」ができません。しかも、「簡単」なことではありません。時間の確保1つとったって、非常に難しい方法です。
中者はまさに末節なアイディアの代表例。さほどの効果はありません。つまりできるようになっても、「楽」にはならないのです。また、やってみていただければわかりますが、緊張した状態で、アイコンタクトの一々とるのって、けっこう面倒で、難しいです。つまり「簡単」ではないわけです。
後者は、「長寿」かどうかという点に問題があります。私は特定の便利アプリに継続的業務の根幹に関わることをやらせるのが嫌いです。そのアプリがなくなってしまうと、どうにもいかなくなるからです。経路検索についてはアプリに頼ってもよいのですが、名刺管理(継続的業務)をアプリに依存しないのはそのためです。

にも拘らず、これらのアイディアと同列に扱うこと自体が、実は、

「機会損失」

なのです。

世の中、情報・知識・技術があふれていますよね。
シーケンシャルにそれらを1つ1つ咀嚼する必要はないと思います。

「楽」ができ、「簡単」で、一度覚えれば「長寿」なものを、即座に見抜き、それ以外のアイディアを、

「捨てる技術」

が、一番大切なのです。

2014年3月5日