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発想法不要仮説(Facebookによるアイディア創造)

今年の4月。フレッシュマン向けの研修で、Cookpadのベンチマークを行いました。
マザーズに上場したばかりの新進気鋭のIT企業。
CGM、集合知といったキーワードも学ぶことができる、まさに教材としてはうってつけの企業です。
候補としてあげてくださった新人さんの目のつけどころは誠にシャープ。そして、他の候補企業を採用せず、Cookpadを最終的に選択したグループ・メンバーの判断もまた正しかったと思います。

Cookpadのビジネスは、一般には、会員事業・広告事業が中心だと思われています。
しかし、同社のビジネスの最大の特徴は3本目の事業の柱、すなわち、「マーケティング支援事業」と呼ばれるビジネスにあります。

たとえば、調味料メーカーA社が、自社で新たな調味料(【例】ラー油)を開発したとしましょう。
このラー油が実際にどのような料理で使用され、どのような評価をされるのか…
当然開発したA社にとって、大きな関心となります。

ところが、A社単独で当該ラー油のテスト・マーケティングをしようと思っても、テストしたい標的となる消費者になかなか「到達」できません。
仮に到達できたとしても、膨大な手間とコスト、それに時間がかかります。
そこで、A社は、Cookpadにテスト・マーケティングの代行を依頼します。A社の依頼を受け、Cookpadのサービス画面には、A社が開発したラー油についての特設ページがもうけられ、全国の主婦から、同製品を使った料理のレシピ、感想が、膨大なデータとして寄せられます。
Cookpadはこの情報をA社に渡し、所定の報酬を受け取ります。

これが、Cookpadを急成長させた原動力であり、差別化要因にもなっている同社の「マーケティング支援事業」のしくみです。

A社にとっても、低価格で手間をかけずに、しかも、短時間で、膨大な「消費者の声」(Voice of Consumer)を入手することができます。
A社は、受け取った情報を元に、当該ラー油の製品改良を加えたり、あるいは、新たな使い方を示したり…といったマーケティング戦略全体の見直しに着手できます。

「CGMの活用がうまく、集合知を上手にビジネスとして使っている企業だな。うちの業界(コンサルティング業界・人材育成業界)にもCookpad的な存在の企業がいてくれればいいなあ」

漠然としたニーズを私自身がいだいていました。
「研修・講演の新たなテーマ」「経営分析や戦略立案のフレームワーク」「マーケティング調査の新たな方法」「人材育成につながるワークショップ」といったものの開発は、「アイディア」が勝負。

「アイディアの段階でいろいろな方の意見を伺いたい」
「いろいろな方と意見を戦わせたい」

商品開発初期における「ディスカッションがたいへん重要な役割を持っています。
ところが、これがなかなかこれが難しいものなのです。

弊社の場合、社内にもコンサルタントは何人もいますし、登録してくださっている社外コンサルタントは100人を超えます。でも、皆さん、とにかく、おいそがしい。

「ちょっとアイディアがほしいので、集まってください」

といった思いつきで集めてしまっては申し訳ないのです。
逆に、彼らに、

「竹永さん。ちょっとブレストに参加してください」

と頻繁に誘われては、私も困ります。
仕事を中断するにも、再開するにも、ストレスが発生するからです。

「意見がほしい! と思っているときにタイムリーに意見を交換してくれる、そんな夢のようなビジネス・パートナーがほしいなあ」

白馬に乗った王子様を夢見る可憐な少女、もとい、理想のビジネス・パートナーを夢見るおよそ可憐ではない中年コンサルタント…それが私だったのです。

ところで、研修や講演を想定しますと、テスト・マーケティングという考え方はあまりなじみません。

「すみません。今回の研修、実はテスト・マーケティングだったのです。今日のところは失敗しちゃいましたが、次回は修正版をお持ちしますので・乞うご期待!」

などと、クライアントに申し上げたら、即刻出入禁止になります。

早い段階で、アイディアの是非についての意思決定支援をしてくれるシステム、あるいは、忌憚のない意見を言ってくれる仲間がほしい…

これは切なる願いでした。
それでも、

「あまりにも都合が良すぎる。現実的には、無理だろうなあ」

とあきらめていたのですが、最近になって、

「灯台下暗し」

であったことにようやく気づきました。

Facebookです。

私にとって、今や、Facebookは食品メーカーにとってのCookpadのような存在になりつつあります。

Twitterではじめた140字ジャストのつぶやき、あるいは、街を歩いているときに偶然思いついたちょっとしたアイディア。
これらをFacebookに投稿してみると(Twitterのほうは自動的にFacebookに反映されるよう設定してありますし)、短時間でいろいろな方からご意見やご感想をいただけます。

何よりもいいね!」ボタンの存在は大きい。
同業の方々、人事部に所属したり人材育成に携わっている方々、大学の教授、中小企業診断士・弁護士などの有資格者、中小企業診断士の受験生の方々など、さまざまな状況にある方々からの「いいね!」サインやご発言は本当にありがたいものです。

しかも、もっとも短時間の場合には、投稿してから、数秒で「いいね!」がつきます。
上司や部下、同僚にアイディアを見せたって、数秒では意見は帰ってきません。
即時反射性」は、Facebookの最大の特徴の1つです。

もちろん、企業秘密に関わることを社外のメンバーに話すことはできません。
あくまでも話すのは、「◯◯ってどう思いますか?」「☓☓っておかしいよね」といった類の話の延長…つまり、飲んだときに話せる内容がほとんどなのです。
ただ、飲んでいるときのディスヵッションこそ、「イノベーションの母」です。
そこから生まれたアイディアから私はいろいろなフレームワークを創り上げることができました。

私のFacebook上の「友達」は、仮にいっしょに飲みに行ったら(まだお会いしたことのない方もいるので)、ビジネスにおけるさまざまなアイディアを情報交換できる方が大半です。。
以前であれば、100人のビジネス上の友人がいたら、100人の意見を伺うには、極端に申し上げれば、100回飲みに行かなければならなかったことになります(100人に共通の友人がいないと仮定)。これでは肝臓を壊してしまいます。尿酸値も上がっちゃいます。

しかし、今は、一瞬にして、100人の友人と「飲みに行けてしまう」。
しかも、「時間を選ばず」「早朝でも深夜でもいつでもOK」。
すごい時代になったものです。

他のあらゆるアイディア創造システムのどれと比較しても、最高の「即時反射性」を誇るのが、Facebookなのです。

Facebookにはもう1つの大きな特徴があります。
それは、アイディア創出における「自己動機づけ性」です。

通常、企業の中で、上司に

「おい。なんかいいアイディアないのか?」
「明日までにいいアイディアを3つ出せ」

などといわれれば、それはプレッシャーになり、ストレスを生みます。

「アイディアを出す仕事からは逃げたい」

と考えるビジネス・パーソンが多いのはそのためです。

ところが、Facebookの場合、プレッシャーもストレスも感じずに、アイディアを作り出すことができます。

何よりもいいね!」は励みになります。
まとまった意見や感想をいただけなくても、「いいね!」は、

① 精神的な支援になりますし、
② 数がたまるとその「いいね!」の数と、投票してくれた方の属性(診断士、弁護士、人事部門の方、中小企業診断士受験生の方 等)は立派なデータになります。

「友達」がいろいろ反応してくださいますから、とにかく動機づけられます。無理やりアイディアを出さなければ…などというプレッシャーもストレスも生じません。実に楽しく、また、気持よく、「議論」できます。

Facebookで知り合ったある友人コンサルタントから、常に考える」ことが大切だ、と教わりました。
その「常に考える」を実現するためのしくみ・システムとして、Facebookの果たす役割はたいへん大きいのです。

先日、ある企業で講演をしていたら、

「竹永さん。はじめまして。いつもTwitterで拝見しています。昨日のブログの話なんですが…」

といって、私のブログの間違えを教えてくださいました。
幸い、講演中ゆえ、目の前にMacがあったので、声をかけていただいた休み時間中に、その方と確認しながら、ブログの当該箇所を直してしまいました。
また、Facebookの友達からもそういったご指摘をいただくことは時々あり、本当に助かっています。

毎回、Twitterやブログ、Facebookを更新する際に、校正を外部に頼んでいたらどうなるのでしょうか。
とんでもないコストが発生してしまいます。

しかし、これらの媒体を通じて知り合えた方々は、まさに無償で、助けて下さいます。
大いなるご協力に感謝するためにも、読み手の皆さんにとって少しでも有益な情報を出し続けなければならないなあ…とミッション(使命感)を再確認いたします。

ダニエル・ピンクが。モチベーションについて語るとき、「Microsoftのエンカルタは失敗した。しかし、ウィキペディアは成功した。この違いは、既存の動機づけ理論では説明できない。内発的動機づけによるものだ」といった事例を引き合いに出します。
Facebookの基本原理もいっしょ。すばらしいシステムです。

即時反射性自己動機づけ性とを兼ね備えた究極のアイディア創造法。」

これがアイディア創造システムとしてのFacebookの正体です。

20世紀に証明されなかったさまざまな数学上の仮説は、Facebookをはじめとする今後のSNSの発展により、つまり、集合知が形成される過程の中で、証明に成功するのではないか…とさえ思うようになりました。

クレイ数学研究所が100万ドルの懸賞金をかけている7つの仮説。
ポアンカレ予想はすでに証明されましたが、あと6つ残っています。

① P≠NP予想
② ホッジ予想
③ リーマン予想
④ ヤン-ミルズ方程式と質量ギャップ問題
⑤ ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
⑥ バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想

SNS全盛の現在。
これらがいつまでも仮説や予想でいられるか、わからなくなりました。

さて、こうなるとアイディア創出術の世界にも「イノベーションの波」が押し寄せます。

ブレインストーミング法、ブレインライティング法、KJ法、ゴードン法、MBS、ワークデザイン法、バズ・セッション、ナイン・チェックリスト法、フィッシュボーン、ロジックツリー、メモリーツリー、マインドマップ…

これらは技法として生き残れるでしょうか。

もちろん、完全になくなるということは考えられません。
ただし、完全にはなくならないまでも、大勢の人間が会議室に集まって行うスタイルのアイディア創出術は、次第に姿を見せなくなるのではないかという予測に至ります。

Facebookでアイディア創出!」

これが今後のトレンドになるのではないでしょうか。

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2011年6月16日

早大大学院・木村達也研究室訪問録(中)

先生の研究室のある11階のフロアでエレベーターは停止。
エレベーターを降りて、またまたびっくり。
まるで高級ビジネスホテルのようなシンプルながら美しいフロアが広がっています。

「…ここは本当に早稲田か?」

ビラやチラシが所狭しと貼ってあり、壁には落書きだらけ。男子トイレのドアは開けっ放し…

私がいた頃の早稲田といえばこんな雰囲気でした。
時代が下り、社会人になってから訪問した、ほんの10年くらい前の早稲田とも雰囲気が違います。
まるで、どこぞの女子大に来たかのような感じ。

「ホームじゃなく、こいつは、アウェイだな…」

訳のわからないことを考えながら、フロアを歩き、先生の研究室を目指します。
右も左も有名教授の研究室が続きます。

「すごい。まるで三十三間堂を歩いているか、五百羅漢を見ているようだ」

と、またまたわけのわからない例えを思いつきながら、ようやく、木村先生の研究室の前に。

ノックをします。
研究室のドアは、高級車の扉のように、質が高いものなので、ノックしてもあまり響きません。今後訪問される方は、強くノックすることをおすすめします。

「どうぞ」
「失礼します」

一礼しつつ、中に入ります。
お変わりない笑顔の木村先生がそこにいらっしゃいました。

お机の上にはMacが1台。
左右の棚には所狭しとマーケティングやビジネス関係の書籍が積み上がり、まさに大学の研究室。
いいですね。他人の書棚を見るのが大好きな私には目の毒というか、いい意味で、気が散ります笑

「どうですか、すぐ、研究室、わかりましたか?」

先生のご質問にお答えすべく、ここまでの経緯を説明申し上げます。

「女子が多いのは、この校舎の低層階が国際交流センターになっているからかもしれないね」

なるほど。留学生は女子学生の比率が高いようです。
それでも、商学部だけをとってみても、昔に比べれば女子の数ははるかに多いのも確かです。
やはり、時代とともに、母校も変わってきているようです。

「竹永さん、この校舎になってからは初めてだものなあ」

有名教授の研究室の中を、三十三間堂を巡るか、あるいは五百羅漢を眺めるように歩いてきたとお話すると、先生も大笑い。

昔話に花が咲きます。
先生との出会いは、今を遡ることおよそ10年前。
私が、日大大学院グローバル・ビジネス研究科に入った入学式の後、学生と教授との初めての面談のときでした。
実は入学まで、『コトラーのマーケティング戦略』の木村先生がいらっしゃることは知りませんでした。中小企業論を学ぼうと思って入学したコースでした。
ところが、新任の当時・助教授として、木村先生のご紹介があり、びっくり仰天。
路線を変更して、研究目的をマーケティングに切り替えてしまったのです。
私は、仕事が忙しく修士論文を同期生といっしょに提出できず、2年半に渡り大学院にいたのですが、留年した半年を除く2年間、木村先生の教えを受けました。もちろん、木村ゼミに所属していました。
先生の日大在籍期間は私たちの入学から卒業までのちょうど2年間。ですから、たいへんよく私たちのことを覚えていて下さり、卒業生の幾人かとは今でもやりとりがあるとのことでした。

その後、先生は早大に移籍され、その半年後に、私も日大大学院を卒業することができました。

そんな昔話が一巡した後のことです。
先生から私に逆質問。

「ところで、竹永さんのブログにあった『マグロの解体ショー』についてなんだけどさ…」

「え、先生、あれ、お読みになってくださったのですか」

「読んでる、読んでる。ちょっと、具体的なやりかたを教えてくださいよ」

…まさか、早大の研究室で、「マグロの解体ショー」に話が及ぶとは…

「想定外です」

ちなみに、「マグロの解体ショー」とは、なんのことはありません。今流行の書籍の「自炊」のことなのですが、「自炊」という呼び方に疑問を感じている私が提唱している、およそ、ディファクト・スタンダードにはなるはずのない呼び方です。
そもそも、Twitter上では私自身「自炊」と呼んでいます。「マグロの解体ショー」では長すぎてつぶやきがまとまりません。

「ちょうど、Facebookで公開した映像がありますから、それをご覧に入れましょう」

動画をお見せしながら、具体的な手順について2人で大研究です。

「あ、すごいね。裁断機を使うと、日経文庫も一瞬でバラバラになるんですね」
「はい。あっという間です。それから、先生、スキャナーは富士通ScanSnapの最新型がいいですよ。従来機とはレベルが違う。また、裁断機は研究室に置かれるのであれば、設置スペース確保の問題が生じますね」

話はやがて、著作権法に及びます。
裁断やスキャニングが、大学教育や社会人教育でどこまでゆるされるか…という問題です。

著作権の制限については、著作権法30条以降にずらりと条文が並んでいますが、今回、先生との議論に関連する対応条文は次のとおり。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一  公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二  技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三  著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ある程度の制限はありますが、法は、お金を出して著作物を購入した者に対しては、広くその使用を認め、複製も許可しているわけです。
家の中で個人的に「まぐろの解体ショー」をするのが、一般に認められているのは、この条文のおかげです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(学校その他の教育機関における複製等)
第三十五条  学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2  公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この条文がありますので、大学や高校の教員の方々は、かなり広く複製が許されていることになります。
ただし、

「本一冊の複製が丸丸OKになるかどうか」
「さらにそれをスキャンして、公衆送信する、つまり、クラウド化してしまうことが許されるかどうか」

このへんは微妙なところです。
大学などで、書籍の一部を、紙としてコピーで配布することは一般に広く行われていますが、スキャンしたデータの配布や公衆送信が可能かどうかについては、私も自信がありません。
もちろん、株式会社である弊社やTBCさんが同じことをするのは許されません。私どもは、「学校」ではありませんので。

著作権法は、産業財産権法と異なり、いろいろな人が「使ってナンボ」という精神の法律ですから、著作権は、特許権と異なり、「独占排他的権利」などではなく、さまざまな「著作権の制限」を法定化しているのです。
ただ、今後は、「制限」の線引きがいっそう難しくなりそうです。

「マグロの解体ショー」の業者への依頼もグレーゾーンです。
いろいろ調べると、裁断だけなら原稿の著作権にはひっかかりませんが、スキャンまでしてしまうのは、まずいでしょう。前述した30条1項(私的使用)の規定にひっかかってしまいます。

「しかし、いずれにしても、今後は、大学教育も変わるのではないかな。MITが授業を無料公開して以来、その波はどんどん世界中の大学に押し寄せてきていますからね」

話は、SNS時代、集合知時代、無料動画配信時代における大学の機能や役割に移ります。また、私たちのような民間における社会人教育のやり方も変化するのではないかという、予想にも話が移っていったのです。

<次回に続く>

 

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2011年6月14日

裁断機インフラ整備ビジネスの構想

Facebookでいただいたご意見を参考に、今後の「自炊」関連ビジネスを予想してみましょう。

ここで、自炊したいけど踏ん切りがつかないという方のことを「自炊予備軍」と定義します。

自炊予備軍の顧客モデルの特徴は以下の2点です。

① 高速スキャナーで取り込む作業自体には抵抗感がない
② 裁断機は便利だが接地面積の大きさには困惑している

①より②が勝っているために、自炊派には至らずにいます。

ネックは「裁断機」です。
本当に使っていないときは邪魔です。我が家ですねを何度ぶつけたことか笑
この裁断機をどうするかで、自炊文化が普及するかどうかが決まります。

解決策を考えてみましょう。
方向性としては、2つ思いつきました。

① 技術革新により、折りたたみ型の裁断機を開発する
② 自宅以外で気軽に裁断機ができるインフラを整備する

以上の2点です。

①は、文具・事務用品メーカーの研究者の皆様の頭脳と知恵を信じて待つことしにしましょう。とてもじゃありませんが、私が、折りたたみのギミックについてのアイディアを出すことはできません。

しかし、②はどうでしょうか。
これは

「あり得る」

と思います。

キーワードは「コンビニ(CVS)」です。

成長産業から徐々に成熟産業となっているコンビニ業界。
物品販売業である以上に、さまざまな街のサービス拠点となっているコンビニストアですが、顧客機能の頭打ちに悩み、新たな付加価値探しに苦慮されているチェーンも多いのではないでしょうか。

少なくとも、今後、富士通ScanSnapS1500もしくはそれと同等のスキャナーが継続的に発売されれば、自炊予備軍は増加します。

しかし、

「裁断機は大きすぎてうちにおけない…」

「裁断機は事務所に置くスペースがない」

という問題が残り、自炊には至らず、市場の生成は阻害されます。

ここで、コンビニの店頭が大きな意味を持ちます。

コンビニの店頭を思い浮かべてみましょう。

私たちがいつもお昼にカップラーメンにお湯を注いでいるカウンター(まったくもって、なんと、貧弱な我が食生活 笑!)。

その一角を間借りし、

「裁断機」

を置いてみましょう。
(文具メーカーさん! コンビニエンス・ストアの本部に営業をかけてください! コンビニ本部のマーチャンダイザーの皆さん! 文具メーカー訪問し、裁断機に触ってみてください!)

さてさて。
裁断機が置かれると、どうなるでしょう。

「コンビニで裁断できるんだ」
「じゃあ、スキャナーだけ購入すればいいってこと?」
「手軽になるね」

自炊予備軍から予備軍の三文字がとれます。

「だったら、スキャナーを買ってこよう」

スキャナーを購入した方々。
まずは、裁断したい本を持って、コンビニを直行です。
カウンターにまっしぐら。
セット・オン!

”ガシャン”

”スパッ!”

「はい。料金30円になります」

30円は一例ですが、コピー機で1枚コピーを取るとの似たり寄ったりの金額であれば抵抗感はありません。

コンビニが購入した裁断機の代金が30,000円だとすると、1,000回でもとが取れます。
1日に50人が足を運ぶとすれば、20日でもとが取れる計算です。

安全性の問題などがあるので、すぐには実現できないかもしれませんが、対策はいろいろ考えれます。
たとえば、セルフではなく、店員が預かって、裁断を行う(その場合、人件費を考慮し、1回100円。失敗しても店側は責任を負わないという特約にしておく 等)。
安全性についても、無理に過敏になる必要はないかもしれません。現在でも、お客さんはカップラーメンに熱湯を注いで、おそるおそる店を出ていきますが、見ようによっては、あの行為も十分に危険です。

話を戻します。

「はい、30円になります」

ここで、そのまま顧客を帰してしまってはいけません。
一言声をかけましょう。

「お客様、こちらのチラシをいっしょにお持ちください」

「え? なんなの?」

「はい。ただいま当店ではキャンペーンを実施しておりまして」

「なんの、キャンペーン??」

「はい。こちらのチラシに載っているスキャナーを購入してくださるご友人の方をご紹介いただきますと、100回分の裁断無料チケットを、ご本人様とお友達の方にペアでお配りしているんです」

いかがでしょう?

これで、世の中、一気に自炊の文化が広がります。
これぞまさに、マッチポンプ型需要創造!
文具メーカーさんとコンビニエンスストアさん、それに富士通さんも含めて、三者でコラボを組めばいいのに 笑

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2011年6月4日

MacOSにひそむ「2019年問題」

タイトルだけ読むと、深刻な問題のような気がしますが、ご安心を。
本日は脱力系の話です。

Macユーザーならば誰でもご存知なことですが、MacのOSには、歴代、ネコ科・それもヒョウ亜科の動物の名前が充てられています。
Windowsのように数字や英文字(95、98、ME2000、XP、7)ではなく、ネコ科の動物の名前が「あだ名」(正式には「コードネーム」というそうです)として付けられているのです。
この夏、登場するMacOSX10.7の「あだ名」は「Lion」。百獣の王である「獅子」の名前を冠した最強のOS…という位置づけなのでしょうか。
期待が膨らみます。

さて、ここで1つ、MacOSには大きな問題があることに気づきました。
世の中には、ネコ科、それもヒョウ亜科の動物というのは、それほどいないという事実を、皆さんはご存知ですか。

早速、ウィキペディアで引いてみました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヒョウ亜科は、ヒョウ属、ウンピョウ属、マーブルキャット属、ユキヒョウ属の4属(ユキヒョウ属を独立させない説に立てば3属)を含むネコ科の亜科である。およそ600万から1000万年前にネコ亜科から分岐したと考えられている。下のような種を含む。

(1) ウンピョウ属
① ウンピョウ Clouded leopard
② ボルネオウンピョウ Bornean Clouded Leopard

(2) ヒョウ属
① ライオン Lion
② ジャガー Jaguar
③ ヒョウ Leopard
④ トラ Tiger

(3) マーブルキャット属
① マーブルキャット Marbled cat

(4) ユキヒョウ属
①ユキヒョウ Snow leopard

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

合計8種類です。
わずかに8種類です。

ここで、思わぬ発見が!
(1)①の「ウンピョウ」!
いいですね。クラウド・コンピューティング時代にぴったりの名前。「Lion」のつぎは、「Clouded leopard」でしょうか。

本題に戻ります。

僅か8種類。これで終わりなのです。

ちなみに、すでに使われているものに星印をつけてみましょう。

(1) ウンピョウ属
① ウンピョウ Clouded leopard
② ボルネオウンピョウ Bornean Clouded Leopard

(2) ヒョウ属
① ライオン Lion ★(Mac OS X10.7)
② ジャガー Jaguar ★(Mac OS X10.2)
③ ヒョウ Leopard ★(Mac OS X10.6)
④ トラ Tiger ★(Mac OS X10.4)

(3) マーブルキャット属
① マーブルキャット Marbled cat

(4) ユキヒョウ属
①ユキヒョウ Snow leopard ★(Mac OS X10.6)

Mac OS X10.3で使用された「Panther」は「ヒョウ」の別名のようですね。ウィキペディアによると、ヒョウの学術上の英名は
「Leopard」となっています(学名、つまり、ラテン語だと、「Panthera pardus」ですから、「Panther」はここからきたようです

いずれにしても、「ライオン(Lion)」をのぞけば、残りは、「ウンピョウ(Clouded leopard)」「ボルネオウンピョウ(Bornean Clouded Leopard)」「マーブルキャット(Marbled cat)」の3つしかありません。

仮に2年に1回ずつ、新しいMac OSがデビューするとすると、
2011年 Lion
2013年 新OS(たとえば、Clouded leopard)
2015年 新OS(たとえば、Bornean Clouded Leopard)
2017年 新OS(たとえば、Marbled cat)
で、ヒョウ亜科の動物名は枯渇します。

2019年発売の新OSには、付ける名前がなくなってしまうのです。

これを、

「2019年問題」

と呼びます(勝手に呼びます)。

良い解決策はないでしょうか。

解決のためのアプローチとして、「ヒョウ属に属する種の間でできる雑種」の名称を用いるという方法が考えられます。

「ライガー」「タイゴン」「レオポン」といった類の雑種の名称を用いるという方法です。
ライガー(Liger)は父がライオンで母がトラの雑種、タイゴン(Tigon)(またはティグロン)とは、父がトラで母がライオンの雑種、レオポン(Leopon)はヒョウの父親とライオンの母親から生まれた雑種です。
ヒョウ属の雑種の名前には、法則性があり、一般に父親の英名の前半部分と母親の英名の後半部分をつないで名前をつけることが慣例となっています。

「ライガー(Liger)」「タイゴン(Tigon)」「レオポン(Leopon)」の3種プラスで終わりかというと、そうではありません。まだ先があります。

ライガー、タイゴンともに、雄は全く繁殖力を持たないのですが、雌にはまれに繁殖力のある個体が発生し、ライオンやトラとの間に子をもうける場合があります。
その場合はライオンが父、ライガーが母であれば「ライライガー(Liliger)」と言う風に、両親によって呼び名が異なる決まりとなっています。
これらもすべて「あだ名」には使えそうです。

まだ先があるのかというと、残念ながらここでおしまい。さらに生まれた子には、雄雌共に生殖機能がないために以後の繁殖はできません。たとえば、「ライライライガー(Lililiger)」は生まれてこないのです。

無限に続けばベストだったのですが、そこまでは無理でした。しかし、新たな「あだ名」候補が多数見つかり、しかもそれは思っていたよりも数が多く、ほっとしました。

我ながらこれは名案!
さっそく、Facebookで友達になり、スティーブ・ジョブスに教えてあげなければ…と思いましたが、良く考えてみて…やっぱり、廃案!

「雑種」はあくまでも「雑種」であって、「種」ではありませんので。

こういうときは、諦めと切り替えが肝心。
別なアプローチを探ります。

実は、よい解決策がありました!

ヒントは、今を遡ること10年前。
2001年9月にデビューした、「ピューマ(Puma)」にありました。
実は、ピューマは、ヒョウの仲間のように思っている方が多いのですが(現実に、北米では、Pantherはピューマのことを指します)、山猫に近いネコ亜科の動物。

つまり、慣例上、Mac OSの「あだ名」は、ヒョウ亜科の動物の名前ではなくてもよかったわけです。なんか、古い判例を見つけたみたいで、気分がいいです。

ちなみに、ヒョウに「Panther」「Leopard」という2つの呼び名があったのと同じく、ピューマの別名には「Cougar」というのもあります。これも、今後のMac OSの「あだ名」の貴重な候補になります。

ヒョウ亜科に限定すると、前述したとおり名称は、8種類しかいないわけですが、ネコ亜科がOKとなると、範囲は広い!
ネコ亜科に属する動物はざっと数十種。
これなら安心。少なくとも、私が生きている間は、MacOSの名称が枯渇する心配はなくなりました。
実は、Mac OS X10.0で使われた「チーター(Cheater)」も、ヒョウ亜科ではなく、ネコ亜科の所属でした。

これにて一件落着。
「2019年問題」は無事解決です。
Apple社のコンサルティングを担当した気分です(気分だけですけどね)。

ここまで、書きながら、今日の話、何かに似ていると思ったのですが、今、ようやく気づきました。
IPアドレス枯渇問題ですね。現在使用されているIPv4というプロトコルでは近い将来にIPv4アドレスが不足してしまうことが予想されている事態です。
「2019年問題」とたいへん良く似ています。

ああ。すっきりしました。
今日はよく眠れそうです笑

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2011年6月1日

現代版「ペンは剣よりも強し」

今朝方アップした「汝、PowerPointに支配されることなかれ」に、たくさんのご意見・ご感想を頂戴し、本当にありがとうございました。

「Facebookに登録して良かった」

と、改めて実感いたしました。

今回は、「PowerPointを使わなければならない環境」を前提として、私の方法をご紹介いたしましたが、本来、PowerPointを使わないほうが、講義・講演の説得力ははるかに増します。
受講者・聞き手に対し、白いホワイトボードだけを用いて、縦横無尽に「落書き」をしながら、話を進めていくほうが、よっぽどインパクトがあります。
コンサルタントとして、講師として、講演者として、力もつきます。

PowerPointにばかり依存していると、果てはPowerPointがないと何もできなくなってしまいます。
ホワイトボード主体の講義・講演は、PowerPoint主体の講義・講演と比べると、自らの脳に与える刺激の質・量が圧倒的に違います。北宋の文人・欧陽修は、アイディアが生まれやすい場所として、「三上(さんじょう)」をあげています。三上とは、以下の3つの「上」の総称です。

① 枕上(ちんじょう) 目が覚めるとよいアイディアが浮かぶというものです。
② 馬上(ばじょう) 馬に乗っているとよいアイディアが浮かぶというものです。
③ 厠上(しじょう) トイレですわっているとよいアイディアが浮かぶというものです。

なるほど。
ドイツの数学者カール・フリードリヒ・ガウスは、

「1935年1月23日、午前7時、起床前に発見」

というメモを残しています。これは①「枕上」に該当します。

ポアンカレ予想で有名なフランスの数学者アンリ・ポアンカレは、乗合馬車の踏段に足を触れた瞬間に素晴らしいアイディアがひらめいた、と述べていますが、これは②「馬上」(実際には、「馬車」ですし、「乗る前」ですが<笑>)に該当します。

一方、誰が作った言葉かは存じていないのですが、「三中(さんちゅう)」というのもあります。

① 無我夢中
② 散歩中
③ 入浴中

イギリスの哲学者バートランド・ラッセルは、

「タバコを買いに出かけた帰り道で考えが火花のように浮かんだ」

と述べています。これは②「散歩中」に該当します。

ギリシアの科学者アルキメデスが、風呂の中で「浮力の法則」を発見したのは、③「入浴中」に該当します。
うれしさのあまり、「Eureka(エウレカ、見つけた)!」と叫びながら、裸で王宮まで走っていったという故事は有名です。

私の場合、「三上」「三中」に該当するヒラメキの経験も確かにあるのですが、一番、いろいろなアイディアが出てくるのは、なんといっても、講義中・講演中です。

「三上」ならぬ「壇上」であり、「三中」ならぬ「講演中」なのです。
特に、ホワイトボードに何かを書いているとき。本当にいろいろなことを思いつきます。
脳が受ける刺激が強く、それにより、脳が活性化しているからだ…としか説明できません。
とにかく、次々といろいろなアイディアが湧いてきます。「壇上」で「講演中」ですから、ひらめいたアイディアをなかなか書き留めにくいのですが、それでも、ちょこちょこっと付箋紙にキーワードだけでもメモする…くらいのことはしています。

今や、一般的にも、アイディア発生装置として、ホワイトボードは広く認識されています。360度ホワイトボード…という会議室を備えた会社に伺うと、それだけでわくわくしてまいります。

ところで。

私の場合、ビジネス上、最もホワイトボードが効果を発揮してくれるのは、講義・講演中ではなく、実は、商談中なのです。
商談中の相手先企業に伺い、会議・打ち合わせに参加したり、プレゼンテーションさせていただいたりする場合に、会議室を見渡し、ホワイトボードを見つけたら、頭の中に「!(エクスクラメーション・マーク)」が出現します。

「ちょっとホワイトボード、お借りしていいですか」

マーカーを手にとり、説明を加えながら、自らの企画を1枚の体系図として描き上げていきます。

「絵描き歌」でも歌うかのように、スムーズに、スムーズに、ブリッジをしっかりと掛けながら、聞き手の理解の速度とシンクロさせ、1枚の美しい企画体系図を仕上げていきます(もちろん、即興です)。
カラーマーカーが置かれていれば、もちろん、使います。
古い事例で恐縮ですが、

「できるかな」(NHK教育)のノッポさん
「満点パパ」(NHK総合)の故・三波伸介さん

がお手本です。先方の会議室において、ホワイトボードの使用許可がおりれば、他の道具はいりません。

パソコンの蓋を「パタン」と閉じてしまうのはもちろんですが、事前に印刷してきた企画書さえ先方に渡さずに持って帰ってきてしまうこともしばしばです。ホワイトボード上に完成した美しいチャート(企画体系図)をiPhoneで撮影し、

「メールでお送りしておきますね」

と告げ、その場で先方でお送りし、会議・プレゼンはおしまい。

「私どもからの提案は以上です。ご清聴ありがとうございました」

ここまでいけば、仕込みは上々。
後は「まな板の上の鯉」
「果報は寝て待て」とも申しますので、とにかく…心静かに結果を待ちます。
数日後。

「今回の件、御社にお願いいたします

という受注のメールが届きます。
この方法で、今まで商談が不成立だったことはほとんどありません(特に新規獲得の際はほぼ100%成立しています)。

閑話休題。
私がもし、「三銃士」の時代に生まれていたり、「西部劇」の時代に生まれていたらどうなるか。ちょっと思考実験をしてみましょう。

これらの時代に生まれていれば、痩せても枯れても男の子。好むと好まざるとにかかわらず、決闘に臨まなければならない場合もあるでしょう。

決闘の場で、相手に
「おい、貴様。武器を1つだけ選べ」

といわれたら、私は迷わず、

ホワイトボードを」

とリクエストいたします(笑)。
よりも、よりも、如意棒よりも、PowerPointよりも、戦闘機よりも、はたまた、三つのしもべモビルスーツ宇宙戦艦よりも…なんといっても私には

「ホワイトボード」

が一番頼りになるのです。

「ペンは剣よりも強し」

ならぬ、

「ホワイトボードはPowerPointよりも強し」

というわけです。

さてさて。
冗談はさておき(笑)。最後にちょっとだけ真面目な話を。

ホワイトボードに描いた情報は、もともと、常にデジカメに収める習慣のあった私ですが、記録した写真の活用法もどんどん変化しています。
ホワイトボードを巡る環境変化において、近年、最もありがたかったのは、Evernoteの登場とそのたゆまぬ進化です。
Evernote導入以来の2年間。私は、描いたホワイトボードは、ほぼすべて、Evernoteに保存しています。
その間にも、Evernoteは進化を続けていて、最近ではホワイトボード上の手書き文字認識してくれるまでになりました。
活字ではなく、手書き文字の認識…ですから、恐れ入ります。
もっとも、丁寧に書かなかった文字(いわゆるミミズ文字)、略字等については、今のところ認識されません。
まだまだ、認識率は低いのです。
それでも、

「ダメもと」

で、自分が過去に描いたホワイトボードの写真について、Evernoteの中をキーワード検索してみると、案外見つかってくれるものです。

今後、手書き文字の認識率が高まれば、これまた、仕事の能率アップが期待できます。10年後。
ホワイトボードを巡る環境は、どのように変化しているのでしょうか。
想像するだけでも、またまたわくわくしてまいります。

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2011年5月25日

組織文化醸成システム仮説

先週担当した経営戦略の担当研修中、ひとつ大きなヒラメキがありました。

講師である私も含め、参加されたほとんど受講者の方が、使用したケーススタディ(一橋大学 「パナソニックIH調理器事業」)を読み解く際に、競争優位の持続的源泉の1つとして、「組織文化」を重んじていました。
模倣困難性の高い強固な組織文化は、企業にとって、持続的競争の源泉になる…というオーソドックスな発想です。
組織文化の持続的競争優位性については、VRIO分析を紹介する際にも、典型的な例としてもあげられます。

しかし、裏を返せば、強固な組織文化が出来上がるまでには相当の時間がかかり、また、文化を作り上げるためのマネジメントというのも定石がない…

つまり、組織文化は、結果として生まれることはあっても、マネジメント上は、統制不可能要因に該当してしまうのではないか、という問題がついてまわります。

ケーススタディの解答としては

「強固な組織文化が当該企業の成長の鍵となります」

と、”きれいに”まとまるのですが、それを自社に転用しようとしたところで、

「でも、うちでは無理ですよ」

と、思考が停止してしまうのです。

研修中、受講された方々のディスカッションと発表を聞きながら、私がヒラメいたのは、

「自然発生的な組織文化を期待するだけではなく、人工的・強制的に組織文化(またはそれにに近いもの)を導入することはできないか?」

という点でした。

講義中、演習中ゆえ、その場でいろいろ調べることはできませんでしたが、先日、Facebookで知り合った方々に刺激を受け、

「たまには、『古典』『名著』を読み返すか」

と書棚から手にとった

『エクセレント・カンパニ−』

の中で、次のような事例があったのを思い出しました。
(企業名を忘れたので、のちのち、ちゃんと調べる予定です。)

その会社では、従業員は上司に自分のアイディアを提出し、不採用となると、他の上司(非直属上司)に、社内営業することができます。

「うちの上司には採用されなかったのですが、◎◎部長のところで、使ってもらえませんか?」

「ううむ、うちでも使い道がないなあ」

と断られれば、さらにまた別な上司へ。自分のアイディアの社内営業を継続します。
努力の甲斐あって、

「いいね。じゃあ、うちの事業部で使わせてもらうよ」

となれば、めでたく社内商談成立。場合によっては、アイディアを思いついた彼も、採用してもらったこちらの事業部に移動してきます。

この際、アイディアを思いついた社員(社内発明者)の人事評価はアップします(【例】5点プラス!)。
同じく、採用した別部門の上司の人事評価もアップします(【例】5点プラス!)。

一方で、面白いのは、アイディアを思いついた社員(社内発明者)の直属上司への評価。

「せっかくのナイスアイディアに気づかないとは情けない」

というイメージでしょうが、この直属上司は人事評価はマイナスに評価されます(【例】5点マイナス!)。

社内経営資源(アイディア)を増やした社員(社内発明者)、それを有効に活用できると意思決定をした非直属上司の功績は高く評価し、アイディアの価値を見抜けなかった直属上司については、任務懈怠があったとみなされ、低く評価される…

これは、本来、「組織文化」ではなく、「組織運営システム」とでも表現するのが適当でしょう。

しかし、文化は自然発生的ですが、システムは人工的に創り上げることができます。

また、このようなシステムが定着すれば、本来、マネジメントが困難な(統制不可能な)「組織文化」が醸成されていくのではないかという仮説が成立します。

マイナス評価となるのを恐れる直属上司は、部下の声(アイディア)に、より注意深く耳を貸すようになるでしょうから、コミュニケーション量は増えるはずです。

いささか、「アメとムチ」理論であり、ハーズバーグやドラッカー、ダニエル・ピンク先生らには、批判を受けるかもしれませんが、試してみる価値のある仮説だと思います。

桑田・田尾両氏の名著『組織論』(有斐閣アルマ)の中では、グループ・ダイナミクスの基本がいろいろ紹介されていますが、そのなかで、強固な組織文化醸成のための秘訣として、確か、次の5点が示されています。

1.近接性
2.構成員の同質性
3.相互依存性
4.コミュニケーション・ネットワーク
5.帰属意識の高揚

前述の仮説は、このうち、1,3,4,5の点で、直接・間接の効果があると考えられます。

1.近接性 当該システムによって、部下と直属上司・非直属上司の心理的距離が縮まる
3.相互依存性  部下のアイディアを直属・非直属上司が活かすという相互依存システムである。
4.コミュニケーション・ネットワーク  社内営業システムはコミュニケーション・ネットワークに該当する
5.帰属意識の高揚 評価された部下・上司は「この組織にいてよかった」と感じる可能性が高い

なお、当該システムには、おまけがあります。
すべての非直属上司への社内営業が失敗に終わった場合にはどうなるのか。
その場合、社内発明者は、経営トップ(【例】取締役、取締役会、代表取締役)への営業が可能になります。つまり、企画書を経営トップに上申できるのです。

「おもしろい。一丁やってみるか」

ということになれば、彼は新規事業部の責任者に抜擢され、そのアイディアを自ら実現するべく、奮闘せよ! となります。

「アイディアの採用先、自らの転職先がなければ、独立して自分でやってみるか」

多くの起業家がそうであるように、当該システムでは、最終的に、社内ベンチャー発足という受け皿を用意しているのです。

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2011年5月23日

改善案提示の際の3要素

先週から今週にかけて、東京会場で、リテールサポート研修上級を担当いたしました。

今回は都内の専門店を取材、それに基づき、受講者の方による改善案作成について細かくアドバイスしました。

3日間丸々あるのですが、それでも時間は全然足りません。

「もっと調査をしたい」
「もっと根拠となる情報がほしい」
「実現可能性の高い提案をしたい」

改善案のためのアイディアもどんどん広がっていきます。

時間がなくて、今回は細かいところまで詰めることができなかったのですが、本来改善提案をする場合、以下の3点に留意すると、提案内容の説得力が増します。

① 人的資源の配分(ヒト)

その改善案を採用した場合、どれくらいの人材が必要で、どのような能力や経験、スキルやノウハウが必要とされるのか…を明らかにします。

② 予算案の作成(カネ)

当該企業の経営者ではありませんので、細かい予算案は提示できない場合もあるのですが、それでも、予算案はつけるべきです。予想増加費用、予想投資額、予想増加売上高、予想増加利益…わかる範囲でよいので、添付しましょう。金銭的に提示することができないメリットとデメリット・リスクも同時に提示します。経営者は作戦を常に金銭的・経済的に換算して、評価します。その評価の手助けを、立案者自身が行うべきだということです。

③ 作戦のシナリオの提示(トキ)

当該改善案を実現するまでにどのようなステップ・プロセスが必要なのか…時系列で整理した作戦のシナリオを添付することも重要です。
「ストーリー効果」という言葉がありますが、人はストーリーやシナリオを示されると、動機づきやすいのです。動機づけのためにも、作戦のシナリオはしっかりと示すべきです。

以上、

① ヒト
② カネ
③ トキ

という3つが改善案(作戦)を示すときの3要素になります。

社内でも、社外でもいっしょです。
今後、社内の方であれ、社外の方であれ、何らかの作戦を提示する際には、常にこの3つの

「たたき台」

を持って臨んでみましょう。

説得力が違います。

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2011年3月4日

今更iPad④

予想通り、昨夜はAppleからiPad2の発表がありました。
私が事前に出していた要望は、

① 両面見開きになること
② 画面サイズが大きくなること
③ 薄くて軽くなること

以上の3点でした。

さてさて。
新型はこの3点を満たしてくれているのでしょうか。

iPad2は、初代と変わらない約10インチの画面サイズを備えていますが、厚さは33%減の9mm弱とiPhone4より薄くなりました。
重量も約600gと少し軽くなりました。
実物を見たわけではありませんが、おそらくは、MacBook Airのときに感じた同様、「薄さ」はかなりのインパクトがあるでしょうね。視覚的な効果のおかげで、「軽さ」も実感できると思います。

中身に目を向けると、新型半導体を搭載して処理速度を大幅に向上させたほか、表側と裏側に動画対応の内蔵カメラを配し、テレビ電話などの機能を充実させています。

日本での価格もすでに公表されていますが、ほぼ初代と変わらない感じですね。価格据え置きです。

というわけで、マスコミやファンからはずいぶん歓迎されているようですが、私としては、これらの高機能はあまり興味がありません。

① 見開き画面の採用→見送り(当然か…笑)
② 画面の大型化→見送り(これまたニーズはないんでしょうね)

で、

③ 軽薄化→これだけは及第点

といった感じです。

オプションとして同時に発表された風呂の蓋のようなケースはおもしろいアイディアです。
皆さん、一度はお店でこの

「風呂の蓋」

の開け閉めを試すのでしょうね。もちろん、私も試しに行きます。

しかし。

電子書籍としての使用を考える場合、Retinaディスプレイ(iPhoneで採用された高解像度ディスプレイ)の採用が見送られたのは残念。
画面が小さくても、解像度が高くなれば、ある程度、評価できたのですが…

A4見開き(420×297㎜)、すなわちA3の書類を実寸で表示するには、最低でも22型ワイド以上の画面サイズが必要です。
最近のパソコンの中には、21.5型程度のワイド画面でフルHD(1920×1080ドット)を表示できる高精細モデルも出てきましたが、これでもちょっと小さいわけです。私の自宅書斎のiMacも画面サイズは21インチです。

そんなに大きな画面はいらない…という方もいらっしゃるでしょうが、紙のサイズに慣れているにとって、A4見開きの書類を実寸で表示できる環境は、やはり捨てがたいものです。

もっとも、そうなると現在のiPadの数倍の重さを覚悟しなければなりませんので、重量の問題が出てきます。手でもって気軽に読み書き…とはいかなくなります。

「A4判の書類を見開きで読める携帯タイプの端末」

の登場は、どうやらまだ先のことになりそうです。

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2011年3月3日

今更iPad②

さてさて。
私の場合、iPadのメイン業務は、

① MacBook Airの外部Displayとしての使用

の他に、単体で、

② GoodReader経由でのPDF書類の閲覧

があります。いわゆる「電子書籍」としての使い方です。

仕事柄、主だった経営学の基本書と法律学の基本書は、すでに「自炊」が完了していますが、この他、頻繁に作成する「自著」を読む際にも、iPadはもってこいの端末になりそうです。
自炊書籍と違って、Wordで作成し、PDF化した文書は、たいへん解像度が高く、読みやすいのです。これは予想以上の効果でした。
以前に、

「画面サイズが小さすぎる。これでは使いものにならない」

と書きましたが、君子は豹変し、前言は撤回。

「GoodReaderの余白カット効果を使うと、けっこう大きく映しだすことができる。満点ではないが、テキストを持たずに、講義をこなすこともできるじゃないか」

という結論に達しました。

この土日。実際にiPadを片手に講義をしてみたのですが、ただ1点をのぞいて問題はありませんでした。

その一点とは何かと申しますと…

「重い」

と言う欠点です。昨日は2時間、本日は7時間半、たちっぱなしで講義を担当しましたが、左腕がへとへと(笑)

「ウエイトトレーニングにも使えるんだあ」

と前向きに考え、欠点ではなく長所だと考えることにいたしましょう。

というわけで、竹永家林檎化計画はまた一歩前進。
このペースで行くと、我が家の家電は数年以内にすべてApple製になりそうです(冷蔵庫や掃除機、エアコンにテレビ…等々)。

<この稿終わり>

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2011年2月22日

シナジー型飲料の展望②(現在編)

お酒の世界における、最近流行のシナジー型飲料といえば、何といっても、ハイボールです。

本来、ハイボールはかなり広い概念の言葉です。広義ではスピリッツをソーダやトニックウォーターなどの炭酸飲料や、水、湯、フレッシュジュースなどアルコールの含まれていない飲料で割ったものの総称です。
日本では、もっと狭い意味で理解されており、ウイスキーをソーダ水で割ったもの(ウイスキー・ソーダ)をハイボールと呼ぶのが一般的です。現在、流行中のハイボールもまさにこのタイプ。狭義のハイボールです。

ハイボールの語源には諸説ありますが、最も有力なのが、ゴルフの「ハイボール」説です。ゴルフ場で英国紳士がウイスキーのソーダ割りを試したときに、誰かが打ったボールが飛び込んできたのをみて、感動した紳士は、グラスにボールが入るような高いボールという意味で「これぞ、ハイボールだ!」と言ったという言い伝えがあります。

数年前からサントリーが「角瓶」の需要喚起戦略としてとりあげたのが、ハイボールのプロモーションです。
角瓶といえば、サントリーの代表的なウイスキー・ブランドです。1937年に発売され、専用ガラス瓶の独特な亀甲模様の形から「角瓶」「角」と通称され、のちに正式な製品名として「角瓶」の名が採用されました。

長らく、低迷が続いてきたウイスキー業界ですが、女優の小雪さんを使ったテレビCMで、ソーダ割りの飲み方提案を展開したことで若者を中心に人気に火がつき、2010年上期の売上は対前年比70%を超える大幅増加を記録、7月には異例の「出荷調整」宣言がなされたほどの大ヒット商品となりました。現在は、二匹目のドジョウを狙って、トリスのハイボールのCMが毎日放送されています。

私自身、30代になってから見向きもしなかったウイスキーを、今年に入ってからは居酒屋で頻繁にオーダーするようになりました。もちろん、ハイボールとして飲んでいます。

ウイスキーに炭酸というシンプルな組み合わせも、1+1=2以上の価値を産んでおり、シナジー型飲料の代名詞です。

さてさて。
それでは、今後は、どんなシナジー型飲料が登場するか、次回・最終回の未来編では、その大予想に挑戦いたします。

㈱経営教育総合研究所 竹永 亮(takenaga@keieikyouiku.co.jp ご意見・ご感想はこちらへ)

<次回に続く>

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2010年12月2日