仮説の記事一覧

Facebookの特異性分析(前編)

昨夜よりFacebookをスタートした当日に宿泊していた水戸のホテルに滞在中。
おっかなびっくり登録した自分を思い出しています。

まもなく登録後2ヶ月になろうとしているFacebookについて、出勤前に備忘録がわりにメモしておきます。

Facebookが他のSNSその他のIT上のネットワークとは大きく違うのは、なんといっても「実名性」。また、そこから派生するいくつかの優れた特異性(効果)を持っています。

1.相互安全保障効果
実名ですから、あまり、いい加減なことは書けません。また、発言の99%は前向きで、相手のことを想った、心のこもった言葉になります。もし、いい加減なことを書いたり、失礼なことを書いたりすれば、登録している「友達」全員を一瞬のうちに失うことにもなりかねません。

その点は、慎重さが必要ですが、とにかく、「紳士・淑女」の集まりであることが、Facebookの特徴です。

会社法的に申し上げれば、取締役の相互監視義務のようなものが自然とメンバー間に発生しているのです。お互いにお互いを「この人は間違いないよ」と保障しあっている感じです。

今、気づいたのですが、株式の相互持ち合いに近い概念…と申し上げたほうがわかりやすいです。
でなければ、『三国志演義』、赤壁の戦いにおける「連環の計」のイメージです。

2.即時反射効果
これは先日も書いたFacebookの大きな特長です。自らの考え・アイディア・意見・感想に対し、すぐに「いいね!」という「承認」や「評価」が付き、せっかちな人間ほど、この即時反射効果の恩恵を強く受けるのではないかと感じます。

「いいね!」だけではなく、コメントが短時間で寄せられるのも大きい。孤独感を感じることなく、どこにいても、会社のサロンや休憩室、アイランド型に配置されたデスクで仕事をしているのと、ほぼ同じ環境が常備されているのです。これらの環境よりも、さらに迅速かもしれまっせん。「即時反射」と呼ぶ所以はここにあります。

人類が火星や木星に進出する時代になれば、光速の壁が邪魔をし、即時反射効果は失われるかもしれません。木星からFacebookに発言しても、数時間は誰も「いいね!」とは言ってくれないからです笑 ただし、これは遠い将来のお話。今のところ関係ありません。

3.自己動機づけ効果
多くの方から「承認」され、多くの方に励まされる…Facebookに加入してよかったと感じる方は多いと思います。
日本中のマネジャーが、やっきになって

「部下をほめなきゃ」
「部下を認めなきゃ」

と思っても、恥ずかしかったり、忙しかったり、感情が邪魔したり、で、それらができないでいると思うのですが、ご安心を。
皆さんの代わりに、Facebookが部下をほめてくれます。ということは、極端に言えば、

「Facebookをやっている部下は少し放っておいても問題ない」

ということになります。
ホメるのが下手なマネジャーの皆さんは、部下に

「Facebookやったらどうだ」

といえば、そのマネジャーは「楽」ができるかもしれません(以上、まだ、仮説)。

部下が自然と動機づけられるしくみ(自己動機づけ効果)をザッカーバーグ氏が用意してくれたことになります。
言い方を変えれば、Facebookは、マネジメント代行業としての機能を持っているということになります。
創業者たちはこういう効果をもともと想定したのだろうか?? インタビューしてみたくなりますね。

<時間切れ。次回に続く>

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2011年6月18日

発想法不要仮説(Facebookによるアイディア創造)

今年の4月。フレッシュマン向けの研修で、Cookpadのベンチマークを行いました。
マザーズに上場したばかりの新進気鋭のIT企業。
CGM、集合知といったキーワードも学ぶことができる、まさに教材としてはうってつけの企業です。
候補としてあげてくださった新人さんの目のつけどころは誠にシャープ。そして、他の候補企業を採用せず、Cookpadを最終的に選択したグループ・メンバーの判断もまた正しかったと思います。

Cookpadのビジネスは、一般には、会員事業・広告事業が中心だと思われています。
しかし、同社のビジネスの最大の特徴は3本目の事業の柱、すなわち、「マーケティング支援事業」と呼ばれるビジネスにあります。

たとえば、調味料メーカーA社が、自社で新たな調味料(【例】ラー油)を開発したとしましょう。
このラー油が実際にどのような料理で使用され、どのような評価をされるのか…
当然開発したA社にとって、大きな関心となります。

ところが、A社単独で当該ラー油のテスト・マーケティングをしようと思っても、テストしたい標的となる消費者になかなか「到達」できません。
仮に到達できたとしても、膨大な手間とコスト、それに時間がかかります。
そこで、A社は、Cookpadにテスト・マーケティングの代行を依頼します。A社の依頼を受け、Cookpadのサービス画面には、A社が開発したラー油についての特設ページがもうけられ、全国の主婦から、同製品を使った料理のレシピ、感想が、膨大なデータとして寄せられます。
Cookpadはこの情報をA社に渡し、所定の報酬を受け取ります。

これが、Cookpadを急成長させた原動力であり、差別化要因にもなっている同社の「マーケティング支援事業」のしくみです。

A社にとっても、低価格で手間をかけずに、しかも、短時間で、膨大な「消費者の声」(Voice of Consumer)を入手することができます。
A社は、受け取った情報を元に、当該ラー油の製品改良を加えたり、あるいは、新たな使い方を示したり…といったマーケティング戦略全体の見直しに着手できます。

「CGMの活用がうまく、集合知を上手にビジネスとして使っている企業だな。うちの業界(コンサルティング業界・人材育成業界)にもCookpad的な存在の企業がいてくれればいいなあ」

漠然としたニーズを私自身がいだいていました。
「研修・講演の新たなテーマ」「経営分析や戦略立案のフレームワーク」「マーケティング調査の新たな方法」「人材育成につながるワークショップ」といったものの開発は、「アイディア」が勝負。

「アイディアの段階でいろいろな方の意見を伺いたい」
「いろいろな方と意見を戦わせたい」

商品開発初期における「ディスカッションがたいへん重要な役割を持っています。
ところが、これがなかなかこれが難しいものなのです。

弊社の場合、社内にもコンサルタントは何人もいますし、登録してくださっている社外コンサルタントは100人を超えます。でも、皆さん、とにかく、おいそがしい。

「ちょっとアイディアがほしいので、集まってください」

といった思いつきで集めてしまっては申し訳ないのです。
逆に、彼らに、

「竹永さん。ちょっとブレストに参加してください」

と頻繁に誘われては、私も困ります。
仕事を中断するにも、再開するにも、ストレスが発生するからです。

「意見がほしい! と思っているときにタイムリーに意見を交換してくれる、そんな夢のようなビジネス・パートナーがほしいなあ」

白馬に乗った王子様を夢見る可憐な少女、もとい、理想のビジネス・パートナーを夢見るおよそ可憐ではない中年コンサルタント…それが私だったのです。

ところで、研修や講演を想定しますと、テスト・マーケティングという考え方はあまりなじみません。

「すみません。今回の研修、実はテスト・マーケティングだったのです。今日のところは失敗しちゃいましたが、次回は修正版をお持ちしますので・乞うご期待!」

などと、クライアントに申し上げたら、即刻出入禁止になります。

早い段階で、アイディアの是非についての意思決定支援をしてくれるシステム、あるいは、忌憚のない意見を言ってくれる仲間がほしい…

これは切なる願いでした。
それでも、

「あまりにも都合が良すぎる。現実的には、無理だろうなあ」

とあきらめていたのですが、最近になって、

「灯台下暗し」

であったことにようやく気づきました。

Facebookです。

私にとって、今や、Facebookは食品メーカーにとってのCookpadのような存在になりつつあります。

Twitterではじめた140字ジャストのつぶやき、あるいは、街を歩いているときに偶然思いついたちょっとしたアイディア。
これらをFacebookに投稿してみると(Twitterのほうは自動的にFacebookに反映されるよう設定してありますし)、短時間でいろいろな方からご意見やご感想をいただけます。

何よりもいいね!」ボタンの存在は大きい。
同業の方々、人事部に所属したり人材育成に携わっている方々、大学の教授、中小企業診断士・弁護士などの有資格者、中小企業診断士の受験生の方々など、さまざまな状況にある方々からの「いいね!」サインやご発言は本当にありがたいものです。

しかも、もっとも短時間の場合には、投稿してから、数秒で「いいね!」がつきます。
上司や部下、同僚にアイディアを見せたって、数秒では意見は帰ってきません。
即時反射性」は、Facebookの最大の特徴の1つです。

もちろん、企業秘密に関わることを社外のメンバーに話すことはできません。
あくまでも話すのは、「◯◯ってどう思いますか?」「☓☓っておかしいよね」といった類の話の延長…つまり、飲んだときに話せる内容がほとんどなのです。
ただ、飲んでいるときのディスヵッションこそ、「イノベーションの母」です。
そこから生まれたアイディアから私はいろいろなフレームワークを創り上げることができました。

私のFacebook上の「友達」は、仮にいっしょに飲みに行ったら(まだお会いしたことのない方もいるので)、ビジネスにおけるさまざまなアイディアを情報交換できる方が大半です。。
以前であれば、100人のビジネス上の友人がいたら、100人の意見を伺うには、極端に申し上げれば、100回飲みに行かなければならなかったことになります(100人に共通の友人がいないと仮定)。これでは肝臓を壊してしまいます。尿酸値も上がっちゃいます。

しかし、今は、一瞬にして、100人の友人と「飲みに行けてしまう」。
しかも、「時間を選ばず」「早朝でも深夜でもいつでもOK」。
すごい時代になったものです。

他のあらゆるアイディア創造システムのどれと比較しても、最高の「即時反射性」を誇るのが、Facebookなのです。

Facebookにはもう1つの大きな特徴があります。
それは、アイディア創出における「自己動機づけ性」です。

通常、企業の中で、上司に

「おい。なんかいいアイディアないのか?」
「明日までにいいアイディアを3つ出せ」

などといわれれば、それはプレッシャーになり、ストレスを生みます。

「アイディアを出す仕事からは逃げたい」

と考えるビジネス・パーソンが多いのはそのためです。

ところが、Facebookの場合、プレッシャーもストレスも感じずに、アイディアを作り出すことができます。

何よりもいいね!」は励みになります。
まとまった意見や感想をいただけなくても、「いいね!」は、

① 精神的な支援になりますし、
② 数がたまるとその「いいね!」の数と、投票してくれた方の属性(診断士、弁護士、人事部門の方、中小企業診断士受験生の方 等)は立派なデータになります。

「友達」がいろいろ反応してくださいますから、とにかく動機づけられます。無理やりアイディアを出さなければ…などというプレッシャーもストレスも生じません。実に楽しく、また、気持よく、「議論」できます。

Facebookで知り合ったある友人コンサルタントから、常に考える」ことが大切だ、と教わりました。
その「常に考える」を実現するためのしくみ・システムとして、Facebookの果たす役割はたいへん大きいのです。

先日、ある企業で講演をしていたら、

「竹永さん。はじめまして。いつもTwitterで拝見しています。昨日のブログの話なんですが…」

といって、私のブログの間違えを教えてくださいました。
幸い、講演中ゆえ、目の前にMacがあったので、声をかけていただいた休み時間中に、その方と確認しながら、ブログの当該箇所を直してしまいました。
また、Facebookの友達からもそういったご指摘をいただくことは時々あり、本当に助かっています。

毎回、Twitterやブログ、Facebookを更新する際に、校正を外部に頼んでいたらどうなるのでしょうか。
とんでもないコストが発生してしまいます。

しかし、これらの媒体を通じて知り合えた方々は、まさに無償で、助けて下さいます。
大いなるご協力に感謝するためにも、読み手の皆さんにとって少しでも有益な情報を出し続けなければならないなあ…とミッション(使命感)を再確認いたします。

ダニエル・ピンクが。モチベーションについて語るとき、「Microsoftのエンカルタは失敗した。しかし、ウィキペディアは成功した。この違いは、既存の動機づけ理論では説明できない。内発的動機づけによるものだ」といった事例を引き合いに出します。
Facebookの基本原理もいっしょ。すばらしいシステムです。

即時反射性自己動機づけ性とを兼ね備えた究極のアイディア創造法。」

これがアイディア創造システムとしてのFacebookの正体です。

20世紀に証明されなかったさまざまな数学上の仮説は、Facebookをはじめとする今後のSNSの発展により、つまり、集合知が形成される過程の中で、証明に成功するのではないか…とさえ思うようになりました。

クレイ数学研究所が100万ドルの懸賞金をかけている7つの仮説。
ポアンカレ予想はすでに証明されましたが、あと6つ残っています。

① P≠NP予想
② ホッジ予想
③ リーマン予想
④ ヤン-ミルズ方程式と質量ギャップ問題
⑤ ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
⑥ バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想

SNS全盛の現在。
これらがいつまでも仮説や予想でいられるか、わからなくなりました。

さて、こうなるとアイディア創出術の世界にも「イノベーションの波」が押し寄せます。

ブレインストーミング法、ブレインライティング法、KJ法、ゴードン法、MBS、ワークデザイン法、バズ・セッション、ナイン・チェックリスト法、フィッシュボーン、ロジックツリー、メモリーツリー、マインドマップ…

これらは技法として生き残れるでしょうか。

もちろん、完全になくなるということは考えられません。
ただし、完全にはなくならないまでも、大勢の人間が会議室に集まって行うスタイルのアイディア創出術は、次第に姿を見せなくなるのではないかという予測に至ります。

Facebookでアイディア創出!」

これが今後のトレンドになるのではないでしょうか。

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2011年6月16日

「動機づけ地形図」開発秘話

明日から大阪に移動。
クライアント企業を訪問申し上げ、1泊2日のマネジメント研修を担当します。
テーマは、リーダーシップとモチベーション。
こういった抽象的なテーマを扱うのは、以前は、たいへん苦手で、クライアントから要請を頂いても、丁重にお断りしてきました。
具体論の伴わない研修はお引き受けするわけにはいきません。

「精神論で終わってしまって期待はずれだった」

という感想をいただくのを避けたかったのです。

ですが、これについては常に考え続け、何年も研究を重ね、さまざまな業種・業界の経営者・マネジャー・マネジャー候補者の皆様のお話を伺ううちに、少しずつ、自分なりの仮説が持てるようになりました。

現在、いろいろな企業でお話させていただいている2つの行動科学理論(「動機づけ地形図(MCM:Motivation Contour Map)」と「マネジリアル・クライミング理論(MCT:Managirial Climbing Theory)」)は、そんな中でようやく数年前に完成したフレームワークです。
ちなみに、DREA(「経営環境分析に基づく事業戦略再定義法」)も可愛いわが子のようなフレームワークですが、こちらは経営戦略策定の手順モデルですから、行動科学とは畑が違います。こちらについてはまた後日。

「動機づけ地形図」は、従業員の動機づけの要因を「相互に因果関係がある7つの要素」に分解するところから始まります。
私はこれを「7つの湖(Seven Lakes」と名づけ、「動機づけ地形図」という1枚のチャートに表現しました。
チャート中に登場する矢印を「川(river)」と呼び、水の流れに例え、各要因間の因果関係を表しました。
矢印の「矢」側を「下流」、その逆を「上流」と呼び、上流の湖が水でいっぱいになると、水は下流に流れ始め、やがて下流の湖の数位も高くなる…という連鎖反応を用いて、モチベーションの向上を説明したモデルです。

モデルの組立に当たっては、マズローに始まる古典的な欲求段階理論はほとんど参考にしませんでした。相容れなかったからです。
逆に、日本ではまだまだマイナーな、デシの内発的動機づけ理論、チクセントミハイのフロー理論、ブルームらの提唱する期待理論からは大いに刺激を受けました。

私が至った結論の1つは、「モチベーションは、フロー理論のような因果関係だけで説明することもできず、期待理論のような因数分解だけで割り切ることもできない」という点でした。
その結果、両者をハイブリッドさせたのが、「動機づけ地形図」の大きな特徴となりました。

ハイブリッドというとすぐに連想されるのが「光」。物理学における「光」の扱いです。
実は、

「光は粒子としての性質と波としての性質を合わせ持っている。月・水・金は粒子として考え、火・木・土は波として考えよう」

という物理学上の笑い話がヒントになって誕生したのが、「動機づけ地形図」なのです。

上流の湖から流れてくる水によって水位が上がる方法(マネジメント技法)を、水位の「間接的向上法(Indirect Method)」と名づけ、湖自身の底から水が湧きでてくることによって、当該湖の数位が上がる方法(マネジメント技法)を「直接的向上法(Direct Method)」と名づけ、多くの技法・各論を体系化しました。

湖が底から沸き上がるという表現は、デシの内発的動機づけ理論からヒントを得たものです。同理論を説明するときに使用する事例のいくつかは、ダニエル・ピンク氏の『モチベーション3.0』で紹介されているものと似ています。

以前から私の講演を聞いている方々の中には、昨年刊行された『モチベーション3.0』を読み、「(引き合いに出されている事例が)似ていますね」とメールをくださった方もいます。
自分と似た考えを、世界的な人物が取り上げてくれたことは、たいへん大きな自信となりました。
ただし、講演は彼のほうが100倍うまい(笑)。当たり前です。ダニエル・ピンク氏と私を比べるのは、イチローと高校球児を比べるようなものです。ダニエル・ピンク流に申し上げれば、
「チーターとあなたの義弟を徒競走で比較するようなものです」

ということになります。

話を戻します。
「7つの湖」とは、「関係性」「有能感」「自己決定感」「承認」「適職感」「価値」「人的目標」です。
上場企業・大手金融機関のマネジャーたちが、どのような要素に注目して、部下のモチベーション・マネジメントをしているのか、いろいろ調査して、最終的に残ったのがこの7つだったのです。
開発当初は「11の湖」からスタートしました。2桁の素数である「11」は馴染みのうすい数で、

「多すぎる」
「覚えられない」

というクレームを頂きました。
徐々に数を減らし、「9つの湖」を経て、現在は「7つの湖」に落ち着いています。

7つの中で、最も上流に位置する湖が「関係性」であり、河口付近に広がる最も下流の湖3つが「適職感」「価値」「人的目標」です。
この3つの湖からも「川」が流れだしており、水は最終的に「海」に流れ込みます。この「海」が「モチベーション」そのものなのです。

また、他の湖と特に結びつきが強い「有能感」と「承認」は、地形図中の「心臓部分」に当たります。
この2つの湖が、個人の中核的なドライビング・フォースになっているのです。
マネジャーが一番配慮しなければならないのが、自分の部下の心の中にあるこの2つの湖(「有能感」と「承認」)の数位です。
マネジャーは、当該2湖の水位が下がっていないか、いわんや、干上がってなどいないか、常にチェックし、水位を高めるためのマネジメントを行うべきです。

各湖の水位向上法には、いろいろなものがあります。ここでお話ししてしまうと、さすがに、営業秘密の無償公開になってしまうので、控えさせていただきますが、裏をかえせば、私の講演・研修の中心は、その具体的技法の解説に終始します。

理論が完成した後、

「ネーミング」

については三日三晩考えました。
なかなかよい名前が思い浮かばず、当初は「セルフ・モチベーション・プログラム」と呼んでいまいた。
ただ、この名称では、当該理論の特徴がまったく生かされていないと反省。

国土地理院発行の2万5千分の1地形図を見ていて、

「!」

と思いついたのが、「地形図」という名前でした。
趣味の登山が仕事で生きた数少ない瞬間です。

「動機づけ地形図」の英訳は「Motivation Contour Map」であり、等高線を示す「Contour」という用語が使われています。
しかし、実際の動機づけ地形図には等高線は描かれていません。
図中の標高の高低は、水の流れ、つまり、矢印で表しているから、要らないのです。

「動機づけ地形図」については、昨年、中国からお迎えした経営大学院(MBA)の教授・学生の皆様向けに、講演させていただいたことがあります。
当日の通訳のご担当がすばらしい方で、100枚近いPowerPointスライドを1週間で完全に翻訳し、かつ、当日は、複雑な当理論を上手に通訳してくださいました(この日の講演の成功は、原作者よりも翻訳者の腕によるところ大です。客観的に見てもこれは本当!)。

「中国のマネジメント・部下管理は、今までどちらかというとHardなものだったが、今後はもっとSoftなものに切り替えていく必要がある。その際に、動機づけ地形図の考え方はたいへん参考になる」というご感想を参加者の方々からいただくことができました。

これを伺って、正直、ほっといたしました。実は、講演するまでは、ドキドキだったのです。経済のしくみも文化的な土壌も違う中国の方々に受け入れていただけるかどうかは、やってみないとわからなかったからです。

私の主張が、公の場で、まとまった人数の他国の方に受け入れていただけたのは、この時が初めてでした。たいへん大きな自信につながるとともに、家に帰ってくるまでとても興奮していたのを、今でもはっきりと覚えています。

今週は、ちょうど金曜日に、この「動機づけ地形図について、大阪のクライアント企業の皆様を対象に紹介させていただきます。

毎年、中小企業診断士の理論政策更新研修のテーマとしてお話しし、おかげさまで高い評価をいただいているのですが、さて、今回受講されるマネジャーの皆様は、どのように感じてくださるでしょうか。
いろいろご意見・ご感想を伺って参りたいと思います。

「動機づけ地形図」の概要・基本理論については、すでに一昨年前に刊行された『コミュニケーション・マーケティング』(同文館)』の中でも一部紹介しています。
興味にある方は是非、一度、ご覧になってみてください。

ああ…!
今気がつきましたが(最近、このフレーズが多い)、そろそろ、次の理論政策更新研修のテーマを考えなければ…笑
どなたかよいアイディアを下さいませんかね(^_^;)

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2011年6月7日

戊辰戦争史における小さな仮説

本日は完全に閑話休題。
ビジネスとは無縁な話です。ちょっとロマンティックな個人的な話です。
ただ、コンサルタントにとって「探究心」は必要だと思い、書いてみましたm(_ _)m

現在オンエア中のNHKドラマ『新選組血風録』(原作:司馬遼太郎)は思ったよりも「アタリ」でした。役者の演技はイマイチなのですが、とにかく熱演。また、チャンバラ・シーンが割と白熱いたします。斬られると本当に痛そうです。永井大もなかなかかっこいい。役者の名前はわからないですが、沖田総司もひょうひょうとしていて合格点。

ドラマの中では、新選組と距離を置きつつ、一応は「味方」である存在が会津藩。実は、竹永家は、会津藩の出身です。

幕末の会津藩士は、主に年齢によって、青龍隊、玄武隊、朱雀隊、白虎隊、幼年隊に分けられ、配属されていました。
亡き父によれば、幕末時、4代前の我が御先祖様は、白虎隊ではなく、朱雀隊に属していたといいます。

有名な白虎隊は、16歳から17歳の武家の男子によって構成された部隊であり、いわゆる少年兵、予備兵力という位置づけ。もっとも、中には、戊辰戦争に参加したいために生年月日を偽り、15歳で出陣した者もいたほか、13歳の年端の行かない子が駆り出されていたという記録もあります。
一方、朱雀隊は、18歳から35歳までの武家の男性によって構成された実戦部隊であり、会津藩の主力部隊でした。年齢的に見ても、一番の働き盛りの集団であることがわかります。

小学生の頃、歴史の時間に、白虎隊について習ってきた私は、父に、

「どうして、うちの御先祖様は朱雀隊だったんだろう。白虎隊だったら有名だったのに」

と嘆いたことがあります。
父曰く、

「たしかに白虎隊だったら有名にはなっていただろうが、俺もお前は生まれてこなかっただろうな…」

確かに。
白虎隊士は、慶応4年(1868年)に、戊辰戦争の真っ最中に、飯盛山で自決してしまいますので。

ところが。
ところが…です。

実は、調べてみると、白虎隊はかなり大きな組織であり、記録によれば合計343人。
このうち、飯盛山で自決したのは19名あまり(1人は未遂に終わり、明治まで生き延びます。いわゆる「歴史の生き証人」です)。

当時の白虎隊343名の内訳は、

① 士中一番隊 49名
② 士中二番隊 42名
③ 寄合一番隊 106名
④ 寄合二番隊 67名
⑤ 足軽隊 79名

だったそうです。
飯盛山で自刃したのは、②「士中二番隊」の一部(19名)といいますから、それ以外の戊辰戦争での戦死者がいたことを差し引いても、隊士の大半は明治まで生き延びています。

実は、会津には「白虎隊の会」(http://byakko1868.web.fc2.com/)というのがあって(さっき知りました)、HPには、すべての隊士の名前が出ていました(http://byakko1868.web.fc2.com/meibo.html)。
この名簿を見ていきますと…

な、なんと、③の「寄合一番隊」の名簿の中に、

「竹永源次」

という隊士がいたのを発見。

「竹永」という姓は案外珍しい姓で、私は未だに親族以外の「竹永さん」にお会いしたことはありません。親戚に聞いてみても、皆口をそろえて一族以外の「竹永さん」には会ったことがないといいます。皆さんの周りに、私以外の「竹永さん」がいたら、是非、おしえてくださいm(_ _)m
ですから、大阪・御堂筋線の梅田駅と中津駅の中間あたりに「カメラの竹永」という写真店を見つけたときには、本当にびっくり! 思わず、店の外装を写真に収めてしまいました。もっとも、店長さんにはまだお会いしたことがないのですが…(笑)

さて、その珍しい姓の「竹永」が、白虎隊寄合一番隊の中にいたとすると、

「これはもしや…」

という一種の期待感が頭をよぎります。

「これはもしや御先祖様だろうか…?」

父から聞いていたのは、幕末に朱雀隊士だったという情報ですが、そもそも、朱雀隊士になる前は白虎隊士であったわけです。
「朱雀隊士であっったか、白虎隊士であったか」という違いは、「高校2年生であったか、高校1年生であったか」という程度の違いですから、可能性は十分にあります。

もちろん、真相はわかりません。
ただ、父を含めた先祖の墓がある会津若松・高巌寺のご住職(遠縁)に伺えば、何かわかるかもしれません。確か、子供の頃、お寺で、家系図のようなものを見せてもらったことがあるのです。

実は、今年3月、父の十三回忌を予定していたのですが、震災の影響で延期(中止かな)になりました。ですので、ご住職にはお会いできていません。
次回、会津を訪問する際には、この「仮説」が正しいかどうか、調べてみたいと思います。
高まる探究心を抑えるのに苦労しそうです(笑)

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2011年5月26日

組織文化醸成システム仮説

先週担当した経営戦略の担当研修中、ひとつ大きなヒラメキがありました。

講師である私も含め、参加されたほとんど受講者の方が、使用したケーススタディ(一橋大学 「パナソニックIH調理器事業」)を読み解く際に、競争優位の持続的源泉の1つとして、「組織文化」を重んじていました。
模倣困難性の高い強固な組織文化は、企業にとって、持続的競争の源泉になる…というオーソドックスな発想です。
組織文化の持続的競争優位性については、VRIO分析を紹介する際にも、典型的な例としてもあげられます。

しかし、裏を返せば、強固な組織文化が出来上がるまでには相当の時間がかかり、また、文化を作り上げるためのマネジメントというのも定石がない…

つまり、組織文化は、結果として生まれることはあっても、マネジメント上は、統制不可能要因に該当してしまうのではないか、という問題がついてまわります。

ケーススタディの解答としては

「強固な組織文化が当該企業の成長の鍵となります」

と、”きれいに”まとまるのですが、それを自社に転用しようとしたところで、

「でも、うちでは無理ですよ」

と、思考が停止してしまうのです。

研修中、受講された方々のディスカッションと発表を聞きながら、私がヒラメいたのは、

「自然発生的な組織文化を期待するだけではなく、人工的・強制的に組織文化(またはそれにに近いもの)を導入することはできないか?」

という点でした。

講義中、演習中ゆえ、その場でいろいろ調べることはできませんでしたが、先日、Facebookで知り合った方々に刺激を受け、

「たまには、『古典』『名著』を読み返すか」

と書棚から手にとった

『エクセレント・カンパニ−』

の中で、次のような事例があったのを思い出しました。
(企業名を忘れたので、のちのち、ちゃんと調べる予定です。)

その会社では、従業員は上司に自分のアイディアを提出し、不採用となると、他の上司(非直属上司)に、社内営業することができます。

「うちの上司には採用されなかったのですが、◎◎部長のところで、使ってもらえませんか?」

「ううむ、うちでも使い道がないなあ」

と断られれば、さらにまた別な上司へ。自分のアイディアの社内営業を継続します。
努力の甲斐あって、

「いいね。じゃあ、うちの事業部で使わせてもらうよ」

となれば、めでたく社内商談成立。場合によっては、アイディアを思いついた彼も、採用してもらったこちらの事業部に移動してきます。

この際、アイディアを思いついた社員(社内発明者)の人事評価はアップします(【例】5点プラス!)。
同じく、採用した別部門の上司の人事評価もアップします(【例】5点プラス!)。

一方で、面白いのは、アイディアを思いついた社員(社内発明者)の直属上司への評価。

「せっかくのナイスアイディアに気づかないとは情けない」

というイメージでしょうが、この直属上司は人事評価はマイナスに評価されます(【例】5点マイナス!)。

社内経営資源(アイディア)を増やした社員(社内発明者)、それを有効に活用できると意思決定をした非直属上司の功績は高く評価し、アイディアの価値を見抜けなかった直属上司については、任務懈怠があったとみなされ、低く評価される…

これは、本来、「組織文化」ではなく、「組織運営システム」とでも表現するのが適当でしょう。

しかし、文化は自然発生的ですが、システムは人工的に創り上げることができます。

また、このようなシステムが定着すれば、本来、マネジメントが困難な(統制不可能な)「組織文化」が醸成されていくのではないかという仮説が成立します。

マイナス評価となるのを恐れる直属上司は、部下の声(アイディア)に、より注意深く耳を貸すようになるでしょうから、コミュニケーション量は増えるはずです。

いささか、「アメとムチ」理論であり、ハーズバーグやドラッカー、ダニエル・ピンク先生らには、批判を受けるかもしれませんが、試してみる価値のある仮説だと思います。

桑田・田尾両氏の名著『組織論』(有斐閣アルマ)の中では、グループ・ダイナミクスの基本がいろいろ紹介されていますが、そのなかで、強固な組織文化醸成のための秘訣として、確か、次の5点が示されています。

1.近接性
2.構成員の同質性
3.相互依存性
4.コミュニケーション・ネットワーク
5.帰属意識の高揚

前述の仮説は、このうち、1,3,4,5の点で、直接・間接の効果があると考えられます。

1.近接性 当該システムによって、部下と直属上司・非直属上司の心理的距離が縮まる
3.相互依存性  部下のアイディアを直属・非直属上司が活かすという相互依存システムである。
4.コミュニケーション・ネットワーク  社内営業システムはコミュニケーション・ネットワークに該当する
5.帰属意識の高揚 評価された部下・上司は「この組織にいてよかった」と感じる可能性が高い

なお、当該システムには、おまけがあります。
すべての非直属上司への社内営業が失敗に終わった場合にはどうなるのか。
その場合、社内発明者は、経営トップ(【例】取締役、取締役会、代表取締役)への営業が可能になります。つまり、企画書を経営トップに上申できるのです。

「おもしろい。一丁やってみるか」

ということになれば、彼は新規事業部の責任者に抜擢され、そのアイディアを自ら実現するべく、奮闘せよ! となります。

「アイディアの採用先、自らの転職先がなければ、独立して自分でやってみるか」

多くの起業家がそうであるように、当該システムでは、最終的に、社内ベンチャー発足という受け皿を用意しているのです。

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2011年5月23日

断続のマネジメント

私が企業コンサルティングやマネジャー向け研修を行う際に、常に冒頭でお話しする概念の1つに「断続のマネジメント」があります。

日本人の経営者・マネジャーが好きな言葉は、普通は「継続」です。「断続」ではありません。

「継続は力なり」

は、多くの経営者・マネジャーに支持されている方針であり、理念です。
しかし、現実にはあることをずっと継続するのはとてもたいへんなことです。
マンネリとの戦いを避けて通ることができないからです。

いろいろな企業の階層別研修を何年か続けると、おもしろいことに気づきます。

新入社員・2年目社員向けの研修では、その研修が1日ものであれ、2日間の合宿研修であれ、ディスカッションや発表、ワークシートの中に、「マンネリ」という言葉を使う(話したり、書いたりする)方は1人もいません。業種・業界、企業の規模に関係なく、発現率は0%です。

ところが、5年目社員、10年目社員、中堅社員向けの研修を担当すると、90%以上の確率で、ディスカッションの議題や発表の内容、提出されたワークシートの記述の中に、「マンネリ」という言葉が登場します。これもまた、業種・業界、企業の規模に関係なく、共通しています。

後日、人事部のご担当や研修受講者の上司の方にこの事実をお話しすると、

「どうすれば、彼らの抱えるマンネリ問題を解決することができるでしょうか」

という質問をいただきます。

「社員全員の職歴開発計画(CDP;Career Development Program)を第一に考え、当該計画に基づくジョブ・ローテーションを定期的に実施するよう徹底すれば、解決しますよ。」

と、真顔で私がお答えすると

「それは無理です。うちではできません」

と皆さん、困惑されます。

もちろん、私の回答は冗談です(そのことはすぐにお伝えします)。
企業の戦略や全社的な動向を無視し、個人の職歴開発計画の遵守を目的とする経営など考えられないからです。手段と目的が置換するようなことがあってはいけません。

「マンネリを解決しようと考えるよりも、マンネリがあることを前提にマネジメントを考えるべきです」

というのが、本当の回答です。
風邪の予防は大切ですが、どんなに予防しても、誰でもいつかは風邪にはかかります。
風邪にかかったら、どうするか・・・を考えたほうが現実的だということです。

「マンネリに陥った社員には、どんなマネジメントが有効ですか」

と問われれば、これまた、真顔で、

「しばらく放っておくのが一番です。気持ちが乗らないなら、そのまま見守ってあげてください」

とお答えします。この回答は冗談ではありません。

何でもかんでも、「継続は力なり」とはいかないものです。
しばらく放置し、好き勝手やらせてみる。
別な部署の仕事に目移りするかもしれません。
仕事とは全然関係ないことばかりに興味を持つかもしれません。
それでもそのままにしておきましょう。
何日間とか、何週間とか、具体的に口でいうことはできませんが、たいていの「大人」の場合、いずれ、どこかで、気づくものです。

「やっぱり、この仕事をまじめにやるしかないんだな」

目の色が変わったら、タイミングを逃さず、マネジャーとして指示を出します。
目標を設定し、仮説を検証させてみる。矢継ぎ早にさまざまなことをやらせてみる。同時並行に複数の仕事を担当させてみる。ある程度、負荷をかけてもいいでしょう。

いったん止まってもまた走り出せるようなしくみを作ることが「断続のマネジメント」の本質です。
継続できなくても、復帰できる状態が作り出せれば、大きな問題にはなりません。
私はめったにパソコンの電源を切りません。ほとんどの場合、スタンバイかハイバネーション(休止状態)にして使っています。いったん画面は暗くなっても、すぐに元の状態に復帰できれば、問題なく仕事に戻ることができるからです。

断続のマネジメントは、社員の能力開発モチベーション維持の両面で効果があります。次回は、断続のマネジメントを用いた従業員の能力開発の具体的な方法について、考えてみましょう。

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2010年9月21日