北風型講義と太陽型講義の記事一覧

北風型講義と太陽型講義④

民法講座のスクーリングで、5人のグループで、

「単独行為とは何ですか。具体的に3つあげ、お互いに説明しあってみましょう。時間は2分間。よろしいですか? ではやってみましょう。用意…スタート!」

という演習を実施した場合、

「追認」
「取消しもかな」
「遺言もだよね」
「相殺もそうだよね」

他の4人がスラスラと答えられるのに、自分だけが答えられない…というシチュエーションにあなたが置かれたとすれば、どうお感じになるか…思い浮かべてみてください。

「まずい。自分だけ取り残されている」

と思う方が大半だと思います。
そう思ったら、勉強するしかありません。腹をくくりますよね。
この気持ちが大切なのです。

とかく私たちコンサルタントや講師は、知識や情報の伝達にエネルギーを割いてしまいがちです。
しかし、一番大切なのは、動機づけです。
それも、

「がんばってください」
「ちゃんと勉強してください」
「時間をとってください」

というだけでは十分ではありません。むしろ、逆効果です。

動機づけで最も大切なのは、いつの時代も「北風より太陽が強い」ということなのです。

直接口頭で動機づけるのではなく、

① 膨大な情報量を整理し、「選択と結合」のスキルにより、講義自体をストーリー化し、受講される方に「自分にも理解できる」「もう少し学んでみたい」という納得感を持っていただくこと

② ショートディスカッションにより相互の学習レベルを把握し、学習の進んでいる方はそれを確認し、学習が遅れている方はそのことに気づいていただくこと

が大切なのです。

「北風型」ではなく、「太陽型」の講義をいかに演出できるか…講師はこのことを常に考え続けるべきなのです。

<この稿終わり>
㈱経営教育総合研究所 竹永 亮
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2011年3月1日

北風型講義と太陽型講義③

日経のマーケティング講座は、東京駅前の丸善書店内に位置する日経セミナールームで開催されるのですが、

「私の研修が終わった後、丸善さんのマーケティング書籍コーナーに皆さんが並んでくださっていれば成功」
「ご自宅に帰ってから、Amazonのホームページを開いて、『マーケティング』『入門』といった言葉で検索をかけて下さっていれば、成功」

と冗談っぽくお話させていただくのですが、実はこれは本心です。
毎回、講師を務める際に、切に思っていることです。

「興味づけ」

はあらゆる分野における入門講座・基礎講座を担当する講師の使命です。

私は、講義のテーマ・領域・分野に拘らず、受講されている方々の知識や力量を知るために、講義中、積極的にショート・ディスカッションを取り入れています。これも、私の講義の特徴の1つ。
短いもので30秒、長いものでも2分間。こんな短いものでいいのです。
受講されている方の中には、十分に予習してきていただいている方もいらっしゃいます。そういった方には、他の人に当該知識を「教える」「伝える」ことで、ご自身の脳の記憶回路に働きかけ、ご自身の知識を定着させる時間としていただくことができます。

教えてもらう側に回った方にとっては、同じ立場である受験生の口から受ける説明のほうが、延々としゃべり続けるプロの講師による説明よりも、はるかに印象に残ります(もちろん、ディスカッション修了後は、私の方で反復説明し、フォローアップする時間は設けます。受験生からの説明とプロの講師からの説明…両方聞けば、その経験自体が記憶に残ります)。
僅かな時間のディスカッションですが、これを通じ、

「同じ受験生なのに、すごい」
「これくらい知っていないとダメなんだ」
「私も覚えなきゃ」
「次回の講義では、私が教える側に回りたい」

このような気持ちをいだいていただくことが大切です。

<次回に続く>
㈱経営教育総合研究所 竹永 亮
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2011年2月27日

北風型講義と太陽型講義②

国家試験の受験対策講座の場合、企業研修とたとえ同一の内容であったとしても、講義のスピードは格段に速くなります。
一般の企業研修であれば、民法の基礎論は1日掛けて行うことが多いのですが、たとえば、中小企業診断士の受験対策講座の場合には、2時間〜3時間で一気にこれを進めます。
受験対策講座の場合、どうしても、時間あたりの情報量が求められるため、ゆっくりと進めることができないのです。
ただし、早口でまくしたてるという講義ではなく、本質的に必要なテーマや情報だけを取り出し、それらの間に何らかのストーリー性をもらせ、講義が終わると、「ああ、とりあえず、概要は把握できた」と感じていただけるよう、事前に講義設計しておくことが大切です。どこをそぎ落とし、どことどこをつなげるか、この講義設計こそ、講師の腕の見せ所だと、私は考えています。「選択と集中」というよりも「選択と連結」というべき発想です。

断片的に知識や情報を並べ立てただけの講義になってしまっては、受講された皆さんは満足を得られまえん。

「講義でだいたいの全体感はつかめた」
「後はテキストの細かい部分は熟読してみよう」
「過去問題、見てみようかな」

受講された皆さんがこのように感じてくださることが大切です。つまり、その科目への

「自信づけ」

「興味づけ」

が狙いなのです。

前述したとおり、講義自体にまとまりは必要(狭義のまとまり)ですが、講義だけで完全に自己完結している必要はありません。もう少し深い勉強をしてみたい、それができそうだ…という気持ちをいだいていただけるような講義をすることが大切なのです。狭義のまとまりは必要ですが、講義のまとまりは必要ないのです。

<次回に続く>
㈱経営教育総合研究所 竹永 亮
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2011年2月25日

北風型講義と太陽型講義①

「講座以外の質問なんですが、よろしいでしょうか」

ときどき、受験生の方からこんな声をかけていただくことがあります。最近も何度かありました。

「人前で長時間話す場合、竹永さんが特に気にされていることは何ですか」

プレゼンテーションの技術に関するご質問です。

気をつけている点は多々あります。

まずは、対象となる聞き手の力量とニーズ。
初学者の方が多ければ、可能なかぎり噛み砕いて話すように心がけますし、経験者の方が多ければ、専門用語を用い、講義の単位時間情報量をアップします。
それも、会場の「平均」だけで決めることができない場合もあります。一人でも初学者の方がいれば、その方に合わせなければならない場合などです。財務や法務の講義の場合、どうしても会場の平均よりやや下のレベルに合わせて講義をしなければなりません。

企業研修や企業講演の場合には、与えられた時間で話すべき情報量はかなり抑えます。1つ1つのことをしっかりとPowerPointスライドを用いて説明し、全員が納得しているかどうか、何度も確認します。販売でいうところのテスト・クロージングに該当する行為が大切です。

「ここまでよろしいですか」
(全員、頷く)
「では、次の頁に進みましょう。今度は…」

こんな感じです。
今まで話してきた内容を振り返ることができるようなチェック問題(クイズ形式で出題します)を全員で解いて頂くこともあります。全員の「納得感」を醸成してから、次のパートに入ります。

<次回に続く>
㈱経営教育総合研究所 竹永 亮
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2011年2月25日