断続のマネジメントの記事一覧

「サラリーマンNEO」と「断続のマネジメント」

クライアント企業の管理職向けセミナーや中小企業診断士の理論政策更新研修において、「動機付け地形図モデル」について講演する際、冒頭で、私は、いつも「断続のマネジメント」について言及します。

張り詰めた糸は必ず切れる。
人は常にマンネリに陥る生き物である。
「継続は力なり」の行き過ぎは、人を追い詰める。

「継続」も大切ですが、もっと大切なのは「断続」。
一度やめても、しばらくして再開できる状態こそが重要だ…という意味を込めた言葉です。
Appleの得意な「インスタント・オン」の精神です。

引き合いにだすのが、NHKの人気バラエティ番組「サラリーマン NEO」。

これぞ「断続のマネジメント」の鑑。
同番組の特徴は、なんといっても、質の高いコント。半年経つと、必ず充電器に入ります。クオリティが下がっても、だらだらと続けることは一切しない。
ここが重要。まさに「断続のマネジメント」。

「再開してください」
「次の放送、いつですか」
「続きはまだですか」

VOC(Voice of Customer)が集まってきたところで、満を持しての、

「再開です。ネクスト・シーズン、スタートです」

というアナウンス。
いつみても、感心します。

Season6第1回放送も大満足。

いつのまにか、吉瀬美智子さんが抜けたのが残念ですが、しかたないですよね。ゴールデンに進出したドラマ「ハガネの女」の主演ですものね。

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2011年5月11日

失敗しにくい現場での勉強法②

<前回より続く>

⑤ 勉強会開催のための具体的準備
 ここでは、仮に3つのマッチングが見つかり、3回の勉強会が開催できるめどが立ったとしましょう。責任者が、第一にやるべきことは、①日程の調整、②講師との調整、③開催場所の調整、④開催の告知、⑤受講希望者の出欠確認、⑥教材の手配…等の開催に向けての事務作業です。

⑥ 開催不可能テーマについての告知
 第二に、残念ながら先輩チームに適任者がいなかたったために、後輩チームから教わりたいというニーズはあったにもかかわらず、開催できなかったテーマについては、その旨を説明します。永久にできないということではなくて、人事異動で教えることができるメンバーが加入された場合、あるいは、外部講師が見つかった場合には開催する可能性があることも説明すれば、がっかりはされません。

⑦ 中断の意思決定
 最後に、責任者がやるべき重要な決定があります。それは、3回の勉強会が終わったら、その後4回目、5回目の勉強会はやらないという決定を下し、告知することです。企業のマネジャーたちは、勉強会は毎週開催、隔週開催、毎月開催などのように継続しようと考えがちです。しかし、これではマンネリに陥るのは目に見えています。

 3回の勉強会が終わった後、他にマッチング項目がないにもかかわらず、自動的に4回目もやらなくてはならなくなり、適任者も適したテーマもないにもかかわらず、誰かに適当な内容で研修を依頼した場合、どうなるでしょうか。結果は最悪なものになります。教わりたいというニーズのないものを無理やり開催するわけですから、話すほうも聞くほうもおもしろいものにはなりません。

 責任者が行うべき意思決定は、「3回の勉強会が終わったのでいったん勉強会は中断します。また、人事異動などがあり新しいメンバーが加入された状態で、再開しましょう。今回はできなかったテーマにお答えできるかもしれませんので。請う! ご期待」というメッセージを発信すればよいでしょう。

 継続ではなく、断続こそ力なり。

好評のうちに幕を閉じた3回の勉強会は、惜しまれつついったん終了するのがコツです。必要に応じて、再開しても、部下や後輩から喜ばれることはあっても、嫌がられることはないはずです。断続のマネジメントの一例です。
途中で中断してしまうわけですから、失敗しにくいのも当たり前かもしれませんが、この方法の長所は、今いる先輩チームの知的財産を最大限に利用し、部署内の教わりたいニーズに可能な限り対応するという点です。コストも抑えられますし、講師役が分散しますから、責任者の負担を小さくすることもできます。

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2010年10月2日

失敗しにくい現場での勉強法①

断続のマネジメントを用いた従業員の能力開発の具体的な方法の1つに失敗しにくい現場での勉強法があります。

新任マネジャーの皆さんの多くが、「人事部や事業部主催の公式の研修ではなく、手作りでできる現場ならではの実践的な勉強会を開催したい」という強い想いを持っています。
ある企業のシステム部門では、週に1回程度、新任のマネジャーが毎回、テーマを決めて(【例】SEのための財務会計、SEのための管理会計)、手作りの教材で部下や後輩の指導に当たっています。研修時間は毎回2時間程度ですから、下準備や教材作成にも相当な時間を要しています。この企業の場合、相当に教える力や教材作成力がありますから、今のところ問題はありませんが、なかなか誰もが真似できる方法ではありません。

ある金融機関では、審査部門が中心となって、希望者向けに金融に関する週末勉強会を隔週でスタートしました。半年間継続する勉強会でしたが、毎回、教材作成が深夜までかかり、担当する審査部員メンバーの負担を考慮し、翌年は開催回数を半分にしたという事例もあります。
しかし、あまりにも、マネジャーの負担が大きくなるとせっかくスタートした勉強会も長続きしません。
長続きさせるためには、次のような方法を採用してみましょう。

① チーム分けの実施
はじめに、職場のメンバーを先輩(上司・ベテラン)チーム、後輩(部下・若手)チームに別れます。両者に属する中間メンバーがいても構いません。

② 後輩チームによる教わりたい内容の列挙
後輩チームは、付箋紙などを利用して、先輩チームから教えてほしいテーマ(項目)を列挙します。スーパーマーケットであれば、「最近のレトルト食品の動向について知りたい」「クレーム客への対応法の基本を知りたい」など、1枚の付箋紙に1つのテーマ(項目)を列挙します。記名だと聞きにくいようであれば(【例】名前を出すと恥ずかしい 等)、無記名でテーマ(項目)だけを列挙してもらっても構いません。

③ 先輩チームによる教えられる内容の列挙
一方、先輩チームは、自分たちが後輩に教えることができるテーマ(項目)を列挙します。原則として、先輩チームは、テーマ(項目)だけではなく、自分の氏名と研修に要する時間を併記します。「誰がどれくらいの時間をかけて教えることができるか」を明らかにするためです。

④ 責任者によるマッチング分析作業
責任者(マネジャー・課長・係長・主任等)は、両チームの結果を集め、両者のマッチングを考えます。お見合いの組み合わせ探しのような作業です。「後輩チーム10人中5人は、「クレーム客への対応法の基本を知りたい」と書いていて、一方、先輩チームの中で「クレーム客への対応について教えられる」という者が1人以上いれば、早い段階で現場での勉強会を実施することができます。
同様に、教わりたい内容と教えられる内容の間でマッチングが成立すれば、各々が現場勉強会の開催テーマとなります。

<次回に続く>

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2010年9月27日

断続のマネジメント

私が企業コンサルティングやマネジャー向け研修を行う際に、常に冒頭でお話しする概念の1つに「断続のマネジメント」があります。

日本人の経営者・マネジャーが好きな言葉は、普通は「継続」です。「断続」ではありません。

「継続は力なり」

は、多くの経営者・マネジャーに支持されている方針であり、理念です。
しかし、現実にはあることをずっと継続するのはとてもたいへんなことです。
マンネリとの戦いを避けて通ることができないからです。

いろいろな企業の階層別研修を何年か続けると、おもしろいことに気づきます。

新入社員・2年目社員向けの研修では、その研修が1日ものであれ、2日間の合宿研修であれ、ディスカッションや発表、ワークシートの中に、「マンネリ」という言葉を使う(話したり、書いたりする)方は1人もいません。業種・業界、企業の規模に関係なく、発現率は0%です。

ところが、5年目社員、10年目社員、中堅社員向けの研修を担当すると、90%以上の確率で、ディスカッションの議題や発表の内容、提出されたワークシートの記述の中に、「マンネリ」という言葉が登場します。これもまた、業種・業界、企業の規模に関係なく、共通しています。

後日、人事部のご担当や研修受講者の上司の方にこの事実をお話しすると、

「どうすれば、彼らの抱えるマンネリ問題を解決することができるでしょうか」

という質問をいただきます。

「社員全員の職歴開発計画(CDP;Career Development Program)を第一に考え、当該計画に基づくジョブ・ローテーションを定期的に実施するよう徹底すれば、解決しますよ。」

と、真顔で私がお答えすると

「それは無理です。うちではできません」

と皆さん、困惑されます。

もちろん、私の回答は冗談です(そのことはすぐにお伝えします)。
企業の戦略や全社的な動向を無視し、個人の職歴開発計画の遵守を目的とする経営など考えられないからです。手段と目的が置換するようなことがあってはいけません。

「マンネリを解決しようと考えるよりも、マンネリがあることを前提にマネジメントを考えるべきです」

というのが、本当の回答です。
風邪の予防は大切ですが、どんなに予防しても、誰でもいつかは風邪にはかかります。
風邪にかかったら、どうするか・・・を考えたほうが現実的だということです。

「マンネリに陥った社員には、どんなマネジメントが有効ですか」

と問われれば、これまた、真顔で、

「しばらく放っておくのが一番です。気持ちが乗らないなら、そのまま見守ってあげてください」

とお答えします。この回答は冗談ではありません。

何でもかんでも、「継続は力なり」とはいかないものです。
しばらく放置し、好き勝手やらせてみる。
別な部署の仕事に目移りするかもしれません。
仕事とは全然関係ないことばかりに興味を持つかもしれません。
それでもそのままにしておきましょう。
何日間とか、何週間とか、具体的に口でいうことはできませんが、たいていの「大人」の場合、いずれ、どこかで、気づくものです。

「やっぱり、この仕事をまじめにやるしかないんだな」

目の色が変わったら、タイミングを逃さず、マネジャーとして指示を出します。
目標を設定し、仮説を検証させてみる。矢継ぎ早にさまざまなことをやらせてみる。同時並行に複数の仕事を担当させてみる。ある程度、負荷をかけてもいいでしょう。

いったん止まってもまた走り出せるようなしくみを作ることが「断続のマネジメント」の本質です。
継続できなくても、復帰できる状態が作り出せれば、大きな問題にはなりません。
私はめったにパソコンの電源を切りません。ほとんどの場合、スタンバイかハイバネーション(休止状態)にして使っています。いったん画面は暗くなっても、すぐに元の状態に復帰できれば、問題なく仕事に戻ることができるからです。

断続のマネジメントは、社員の能力開発モチベーション維持の両面で効果があります。次回は、断続のマネジメントを用いた従業員の能力開発の具体的な方法について、考えてみましょう。

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2010年9月21日