行動科学の記事一覧

動機づけ地形図モデル(第5回)

罰則を使って、あいさつの効用を訴えることもできます。

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通常、あいさつ革命における罰則の導入と聞けば、「あいさつしないと罰金100円」のような方法を思い浮かべるものです。しかし、まったく逆転の発想をするとどうなるでしょうか。

【設例】

あいさつがなかなか徹底できないA社では、ある営業日にゲームを行った。ゲームのルールは、「今日一日、あいさつをしたら罰金100円」というものであった。スタートして3時間経過した昼ごろ、部下たちのほうからマネジャーに「あいさつしないと仕事になりません。あいさつがビジネスに不可欠であることはよくわかりましたので、ゲームを終了し、通常業務に戻してください」と申し出てきた。それ以降、A社ではあいさつが大きく問題視されることはなくなった。

設例の企業では、マネジャーが機転を利かせて、あいさつの重要性を認識するためにあえて、罰則という外発的動機づけを活用しています。転じて、部下たちの心に「あいさつは誰がなんと言おうと必要なものだ」という価値観を醸成し、見事に内発的動機づけに転換しています。

なお、A社では、新人が入ってきたときには、都度、個別に罰則ゲームを行っています。同じように音を上げた瞬間にゲームは終了です。
マネジャーは、「やっぱりあいさつは大切だよね」で締め、新人を納得させるのです。

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このように、関係性の向上策は、すべて直接的向上法です。

㈱経営教育総合研究所 竹永 亮(takenaga@keieikyouiku.co.jp ご意見・ご感想はこちらへ)

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2010年10月22日

動機づけ地形図モデル(第4回)

具体例の一つに「100-1=0」という式を公理として使う例話があります。

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サービス業の世界では、顧客のために100のいいことをしても、たった一つ、あいさつがろくにできないと、サービスの評価はゼロになってしまうという話です。あいさつはそれくらい大切なものだと伝えるための一つの方法です。

ディズニーランドは、日本でも大人気のテーマ・パークですが、ディズニーランドの魅力の1つが、従業員(キャスト)の顧客(ゲスト)に対するあいさつにあります。どんなにすばらしいアトラクションがそろっていても、あいさつがなくなってしまったら、ディズニーランドのサービスは、とたんに立ち行かなくなってしまいます。

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「100-1=0」という式を使って、「それくらいあいさつは、サーボスの基本であり、必要条件なんだよ」と、従業員に教えるわけです。

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2010年10月20日

動機づけ地形図モデル(第3回)

動機づけ地形図中の7つの湖を水で見たし、水位を高めるためには、間接的向上法直接的向上法の2つがあります。スライド9

間接的向上法とは、当該湖の上流に位置する湖の水位をアップし、その結果、水が上流から流れ込んで、当該湖の水位をアップさせるという方法です。関係性の場合には、これがありません。標高が一番高いので、上流の湖が存在しないのです。

これに対し、直接的向上法とは、当該湖自体の地下から水がわき出てくるように仕向け、直接的に水位を高める方法です。関係性の場合にも、いろいろな直接的向上法があります。話し方の研修を受けたり、相手の話を上手に聞く方法の研修を受けたりする方法も、その1つです。

しかし、研修は、お金と時間がかかります。そこで、従業員の動機づけに成功している企業のマネジャーたちが、現場で行っている、“お金のかからない方法”を、いくつかご紹介いたします。

第一に、「関係性向上のためのABCD」という方法があります。

人間関係の良好な組織を研究するとひとつの共通点を見つけることができます。それは、関係性向上のための「ABCDの原則」を遵守しているとこうことです。「ABCDの原則」とは、
A:当たり前のことを(ATARIMAENOKOTOWO)
B:馬鹿にせず(BAKANISEZU)
C:ちゃんとやり(CHANTOYARI)
D:できるようになること(DEKIRUYOUNINARUKOTO)
の頭文字をとったものです。

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ここでいう、A「当たり前のこと」の代表例は、

① あいさつ
② 身だしなみ
③ 笑顔
④ ルールを守る

といった、本当に小さなことです。

私たちのクライアント企業では、「あいさつ革命」を提唱し、成功した会社がたくさんあります。

<次回につづく>

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2010年10月15日

MBA留学生への講演

せっかくの三連休ですが東京は雨。
予定を変更された方も多いのではないでしょうか。

さて、私は・・・と申しますと、昨日は本郷で仕事でした。

本郷と言えば、東京大学

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昨日は、東京大学で、中国からお越しいただいたMBAの学生の皆様向けに、日本の経営について講演して参りました。
何を話そうか、最初に打診をいただいたときにいろいろ迷ったのですが、ご相談申し上げた結果、モチベーション(動機づけ)の話がいいだろうということになりました。
モチーフとして選んだのは、現在、こちらのブログでも連載中の「動機づけ地形図モデル」です。

このモデルは、日本の勝ち組企業が、いかにして従業員の動機づけについて工夫をしているか、その実践的な方法を、論理的に結合し、体系化したものです。
大手銀行やメーカー・サービス業で、実際に導入していただいている手法ですが、中国の方々にお話しするのは始めて。

はたして、マッチしているだろうか・・・多少の不安がよぎります。

この一週間、通訳の方にパワーポイント原稿と講演原稿をお渡しし、いろいろ調整して参りました。

自分の原稿を翻訳・通訳していただくというのは、はじめての経験でした。

当初、

「講演時間は2時間」

と伺っていたのですが、お打ち合わせをしてみて意外な事実が判明。

① 私が1パラグラフ話した後、通訳の方がそれを翻訳するので、実際の講義時間は半分になる。
② 中国の方は、積極的に質問をする方が多いので、質疑応答で30分は確保したい

なるほど。国内で自己完結的に行う講演とは違います。正味の講演時間は45分、通訳で45分、質疑応答で30分。合計120分という構成です。

動機づけ地形図モデルは、実際に理解していただくと、すんなりと受け入れていただくことができる理論ですが、最初は抽象的に感じる方が多いと思います。
まして、それを翻訳・通訳して、理解いただくというのは、難しいのではないか・・・という懸念も残ります。

当日の朝、通訳の皆さんと軽く打ち合わせ。

翻訳が完了したパワーポイント資料も拝見しました。見事に翻訳していただいています。中国語のわからない私でも、漢字でだいたいの内容はわかります。感動です。

101007 日本の経営(日本型部下の動機づけ理論) 講師用スライド 短縮版 (中文)

受講される学生の皆さんの年齢はさまざま。20代の方から私よりも年上の方まで幅広いようです。日本の大手メーカーに20年以上勤務された経験のある方や、中国国内で大きなビジネス・スクールを経営されている方、またはその講師の方(ほとんど、ご同業です)、会社の社長さんもいらっしゃいます。また、各企業の人事担当者の方も8名いらっしゃると伺いました。

朝10:00。講演がスタート。

私が話し、その後、通訳の方が翻訳してくださる。打ち合わせどおりのスタイルです。

しばらくして驚いたのは、ご担当いただいた通訳の方が、ほぼ完全に、動機づけ地形図理論の内容を自分のものとしてお話になっている点です。もちろん、中国語はわからないのですが、パワーポイント画面の指示のしかたと、身振り・手振りで、この理論をほぼ完璧に理解されていることが、はっきりと伝わってまいります。日本語の原稿をお渡ししてからわずか5日間。驚くべき速さと正確さです。
これなら、安心して、私は日本語の講義に集中することができます。ありがたいことです。

私自身、通常よりも大きな身振りと手振りを使って講義を継続。

正味90分間の講義は無事終了いたしました。

いよいよ質疑応答の時間です。
伺っていたとおり、活発な質問が飛び出します。

「この理論はどういう過程で生まれてきたのですか」

「この理論の検証データを提示していただきたい」

「7つの湖のうち、全部をマネジメントできなけえれば、どの湖を中心に深堀すればいいですか」

「深堀すべき湖の具体的水位向上策をもっと伺いたい」

「モチベーションがあがったかどうかを確認する手段を教えていただきたい」

矢継ぎ早に質問が飛び出します。
一つ一つについて、実例やデータをお見せしながら、お答えしましたが、あっというまに30分が経過しました。

最後には拍手まで頂戴いたしました。熱心な聴講に、私のほうこそ、感謝の気持ちでいっぱいです。

ここで、私は退散・・・の予定だったのですが、

食事をいっしょにいかがでしょうか。まだ、質問したい方がいらっしゃるので」

とお誘いいただきました。

「ただし、学食(学生食堂)なのですが、よろしいですか」

「よろこんでごいっしょさせていただきます。」

快諾し、皆さんと学食に移動。東大の学食でランチをとれば、頭がよくなるかもしれません。

日本の製造業、ホンダとトヨタの戦略の違い、日本の不動産の長期的展望、中国のこれからのマネジメント手法など、いろいろなテーマで意見を交換。
申し訳なかったのは、私の隣に掛けてくださった通訳お二人です。ほとんどゆっくり食事できなかったと思います。ありがとうございました。

「海外で講演はなさらないのですか」

「社内で中国語で交渉できる方はいないですか」

「動機づけ地形図モデルについて、うちの会社でも講演を依頼してよいですか」

ビジネスに関するオファーもいただきました。ありがとうございます。
実現すれば、私にとっても貴重な中国進出になります。

最後は、安田講堂赤門で、皆さんと記念撮影。

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本日がツアー最終日と伺っていたので、

「今日はこの後、皆さん、成田ですか?」

と伺うと、

「最後に、早稲田大学を見学してから、成田です」

とのこと。

「おお、それはいいですね。早稲田も東大に負けないくらいいい大学ですよ」

と母校をPRして、笑いをとりながら、バスに乗る皆さんをお見送り。

わずか半日の交流でしたが、結果として、日本型の動機づけ理論について、たいへん興味を持っていただけたようで、ほっといたしました。
しかし、中国と日本は、文化も違えば、価値観も違います。全面的に現代の日本的経営、日本型マネジメントの導入をすることがベスト・ウェイであるとも思えません。中国流の新しいマネジメント・スタイルの確立こそが必要なのでしょう。

受講者のうちのお一人と安田講堂前で雑談する中で伺った、

「中国のマネジメントも指示・命令だけではなく、やわらかいマネジメントに変わらなければならない。動機づけ地形図はそれを具体的に示唆していた」

という一言に、今後の中国の経営・HRMの方向性示唆されているように感じました。

国内での仕事がメインの私ですが、「隣国の友人」との交流は、とてもよい刺激になりました。お声をおかけいただいた企画担当の皆様、翻訳・通訳でお世話になった皆様にも、改めて御礼申し上げます。
機会があれば、是非、再び、参加したいと思います。海外進出も視野に入れて参ります!(笑)

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2010年10月10日

動機づけ地形図モデル(第1回)

ひょんなことから、今週末に、海外からのMBA留学生の方々を対象に、人の企業の動機づけのノウハウについて、講演をすることになりました。

私が、モチベーションについて講演や研修を行う場合、必ずとりあげるのが、動機づけ地形図モデルです。

今日から何回かに分けて、動機づけ地形図モデルについてご紹介したいと思います。

モチベーションは1枚の地図にまとめることができます。これを「動機づけ地形図」といいます。

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(1) 動機づけ地形図

動機づけ地形図とは、モチベーション・コンター・マップの訳で、従業員のモチベーションを地形図の形に示したものです。

モチベーションを7つの因子に分けています。

ただし、これらの因子は完全に独立したものではなく、各々が相互に因果か関係を持っています。その因果関係を動機づけ地形図では、矢印で表しています。

たとえば、図中の「関係性→承認」という部分は、関係性(職場における人間関係全般)がよくなれば、上司や仲間から承認(受け入れられ、ほめられること)されることを示しています。

(2) 動機づけ地形図の読み方

海・湖・川の概念

動機づけ地形図には、等高線がありません。等高線を使わずに、矢印を使って、図上の標高(海抜)を表しています。

標高0メートルに位置するのが、「モチベーション」という名前の海です。海には3本の矢印が刺さっています。

矢印は川を表し、「有能感」「適職感」などの楕円形が湖を表しています。水は高いほうから低いほうに流れますから、一番下流の湖(海に近い湖)が、「適職感」「価値」「人的目標」の3つになります。

適職感が得られるだけでなく、仕事の価値や仕事上の人的目標が見つかると、3つの湖から水があふれ、川(矢印)を通って、海(モチベーション)に注ぎ、海(モチベーション)の数位は高くなることを示しています。

地球温暖化問題が取りざたされる昨今、現実の海水面を高めることはご法度ですが、モチベーションの世界の架空の海水面は高くすることを目標と考えます。文字通り、「モチベーションが高まる」ことを模式化した図になっています。

湖の間にも上流と下流の関係があります。前述した、「関係性」は「承認」の上流の湖です。関係性という湖が満たされて、湖面が上昇し、あふれ出し、川(矢印)を通って、水は「承認」という湖に注ぎ込むことを示しています。

渦(ループ)の存在

動機づけ地形図には、実際の地形図とは異なる点もあります。

実際の地形図であれば、水は高いほうから低いほうに注ぎ込み、その逆の動きをすることはありません。

ですが、動機づけ地形図上は、水が渦のように行き来している箇所が何箇所かあります。「有能感」(自分は仕事ができると思える自信)と「承認」(上司や同僚に受け入れられ、ほめられること)の間は川が2本あり、矢印が相互に示しあっています。

「有能感→承認」の矢印は、一生懸命仕事の勉強をして、自信が高まれば(「有能感」の向上)、上司や部下にほめられる(「承認」の向上)を示しています。「承認→有能感」の矢印は、上司や部下にほめられる(「承認」の向上)と、それが励みとなって(もっと承認されたくて)、いっそう仕事の勉強をして、自信を高めるようになる(「有能感」の向上)ということを示しています。

このように矢印がぐるっと1往復している箇所を「渦(ループ)」と読んでいます。

(3) 動機づけ地形図の最高標高地点

では、動機づけ地形図の最高標高地点となる湖はどこでしょうか。

渦(ループ)が存在しますから、そこは無視してさらに上流を目指していただいてもいいでしょうし、どこからも水が流れ込んでいない湖を見つけていただいても構いません。答えは「関係性」です。

動機づけ地形図が示すとおり、人間関係とモチベーションは直接つながるものではありません。人間関係(関係性)が良好であるということは、職場の当たり前の条件(必要条件)であり、これを満たしているからといって、すぐに職場のモチベーションが高まるわけではありません。

しかし、間接的には、人間関係(関係性)は、他の多くの湖につながっていて、モチベーション高揚の間接的要因として重要な存在です。

<次回に続く>

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2010年10月4日

失敗しにくい現場での勉強法②

<前回より続く>

⑤ 勉強会開催のための具体的準備
 ここでは、仮に3つのマッチングが見つかり、3回の勉強会が開催できるめどが立ったとしましょう。責任者が、第一にやるべきことは、①日程の調整、②講師との調整、③開催場所の調整、④開催の告知、⑤受講希望者の出欠確認、⑥教材の手配…等の開催に向けての事務作業です。

⑥ 開催不可能テーマについての告知
 第二に、残念ながら先輩チームに適任者がいなかたったために、後輩チームから教わりたいというニーズはあったにもかかわらず、開催できなかったテーマについては、その旨を説明します。永久にできないということではなくて、人事異動で教えることができるメンバーが加入された場合、あるいは、外部講師が見つかった場合には開催する可能性があることも説明すれば、がっかりはされません。

⑦ 中断の意思決定
 最後に、責任者がやるべき重要な決定があります。それは、3回の勉強会が終わったら、その後4回目、5回目の勉強会はやらないという決定を下し、告知することです。企業のマネジャーたちは、勉強会は毎週開催、隔週開催、毎月開催などのように継続しようと考えがちです。しかし、これではマンネリに陥るのは目に見えています。

 3回の勉強会が終わった後、他にマッチング項目がないにもかかわらず、自動的に4回目もやらなくてはならなくなり、適任者も適したテーマもないにもかかわらず、誰かに適当な内容で研修を依頼した場合、どうなるでしょうか。結果は最悪なものになります。教わりたいというニーズのないものを無理やり開催するわけですから、話すほうも聞くほうもおもしろいものにはなりません。

 責任者が行うべき意思決定は、「3回の勉強会が終わったのでいったん勉強会は中断します。また、人事異動などがあり新しいメンバーが加入された状態で、再開しましょう。今回はできなかったテーマにお答えできるかもしれませんので。請う! ご期待」というメッセージを発信すればよいでしょう。

 継続ではなく、断続こそ力なり。

好評のうちに幕を閉じた3回の勉強会は、惜しまれつついったん終了するのがコツです。必要に応じて、再開しても、部下や後輩から喜ばれることはあっても、嫌がられることはないはずです。断続のマネジメントの一例です。
途中で中断してしまうわけですから、失敗しにくいのも当たり前かもしれませんが、この方法の長所は、今いる先輩チームの知的財産を最大限に利用し、部署内の教わりたいニーズに可能な限り対応するという点です。コストも抑えられますし、講師役が分散しますから、責任者の負担を小さくすることもできます。

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2010年10月2日

断続のマネジメント

私が企業コンサルティングやマネジャー向け研修を行う際に、常に冒頭でお話しする概念の1つに「断続のマネジメント」があります。

日本人の経営者・マネジャーが好きな言葉は、普通は「継続」です。「断続」ではありません。

「継続は力なり」

は、多くの経営者・マネジャーに支持されている方針であり、理念です。
しかし、現実にはあることをずっと継続するのはとてもたいへんなことです。
マンネリとの戦いを避けて通ることができないからです。

いろいろな企業の階層別研修を何年か続けると、おもしろいことに気づきます。

新入社員・2年目社員向けの研修では、その研修が1日ものであれ、2日間の合宿研修であれ、ディスカッションや発表、ワークシートの中に、「マンネリ」という言葉を使う(話したり、書いたりする)方は1人もいません。業種・業界、企業の規模に関係なく、発現率は0%です。

ところが、5年目社員、10年目社員、中堅社員向けの研修を担当すると、90%以上の確率で、ディスカッションの議題や発表の内容、提出されたワークシートの記述の中に、「マンネリ」という言葉が登場します。これもまた、業種・業界、企業の規模に関係なく、共通しています。

後日、人事部のご担当や研修受講者の上司の方にこの事実をお話しすると、

「どうすれば、彼らの抱えるマンネリ問題を解決することができるでしょうか」

という質問をいただきます。

「社員全員の職歴開発計画(CDP;Career Development Program)を第一に考え、当該計画に基づくジョブ・ローテーションを定期的に実施するよう徹底すれば、解決しますよ。」

と、真顔で私がお答えすると

「それは無理です。うちではできません」

と皆さん、困惑されます。

もちろん、私の回答は冗談です(そのことはすぐにお伝えします)。
企業の戦略や全社的な動向を無視し、個人の職歴開発計画の遵守を目的とする経営など考えられないからです。手段と目的が置換するようなことがあってはいけません。

「マンネリを解決しようと考えるよりも、マンネリがあることを前提にマネジメントを考えるべきです」

というのが、本当の回答です。
風邪の予防は大切ですが、どんなに予防しても、誰でもいつかは風邪にはかかります。
風邪にかかったら、どうするか・・・を考えたほうが現実的だということです。

「マンネリに陥った社員には、どんなマネジメントが有効ですか」

と問われれば、これまた、真顔で、

「しばらく放っておくのが一番です。気持ちが乗らないなら、そのまま見守ってあげてください」

とお答えします。この回答は冗談ではありません。

何でもかんでも、「継続は力なり」とはいかないものです。
しばらく放置し、好き勝手やらせてみる。
別な部署の仕事に目移りするかもしれません。
仕事とは全然関係ないことばかりに興味を持つかもしれません。
それでもそのままにしておきましょう。
何日間とか、何週間とか、具体的に口でいうことはできませんが、たいていの「大人」の場合、いずれ、どこかで、気づくものです。

「やっぱり、この仕事をまじめにやるしかないんだな」

目の色が変わったら、タイミングを逃さず、マネジャーとして指示を出します。
目標を設定し、仮説を検証させてみる。矢継ぎ早にさまざまなことをやらせてみる。同時並行に複数の仕事を担当させてみる。ある程度、負荷をかけてもいいでしょう。

いったん止まってもまた走り出せるようなしくみを作ることが「断続のマネジメント」の本質です。
継続できなくても、復帰できる状態が作り出せれば、大きな問題にはなりません。
私はめったにパソコンの電源を切りません。ほとんどの場合、スタンバイかハイバネーション(休止状態)にして使っています。いったん画面は暗くなっても、すぐに元の状態に復帰できれば、問題なく仕事に戻ることができるからです。

断続のマネジメントは、社員の能力開発モチベーション維持の両面で効果があります。次回は、断続のマネジメントを用いた従業員の能力開発の具体的な方法について、考えてみましょう。

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2010年9月21日