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「アドラー心理学」ノート(25) 〜承認欲求の否定〜

さて、今回からは「課題の分離」についてまとめておきたいと思います。

まずは、承認欲求の否定について見ていきましょう。

周囲の評価を気にする人ほど、他者から認められたいという承認欲求が強いものです。
しかし、承認欲求が強すぎると、人の期待に応えようと振る舞ってしまい、自分らしく生きることが難しくなります。
「認めてもらいたい」と思い、相手を気にして行動するようになると、相手に依存した生き方になってしまいます。

アドラーは、承認を求め、評価を気にしてばかりいては、「他者の人生」を歩んでいるのと同じであり、自分の生き方を自由に歩んでいることにはならないと述べています。

確かに、人は他者の期待を満たすために生きているわけではないですよね。ということは、他者の期待を満たす必要はないというアドラーの主張もわかる気がします。

この考え方を裏返すと、他者もまた自分の期待を満たすために生きているのではないことになります。
ということは、相手が自分の思い通りに動いてくれなくても怒ってははならないわけです。

いずれにしても、対人関係が壊れることだけをおそれて生きるのは、他者のために生きる、不自由な生き方であるということになるのでしょうね。

モチベーション論について語るとき、私は承認欲求は満たしてあげたほうがいいと考えています。
ですので、アドラーの主張する「賞賛の否定」を全面的に受け入れる気にはなれません。

ただ、無制限に褒め続けることはやはり意味ないことだと思いますし、アドラーの主張を理解しようと努めていきたいとは思っています。

アドラー心理学では、承認欲求を否定しますから、「ほめる・叱る」の子育て、あるいは、賞罰によって人を支配しようとする賞罰教育を否定しています。

2017年8月10日

「アドラー心理学」ノート(24) 〜人生の嘘〜

「人生の嘘」とは、さまざまな口実を設けて、人生のタスクを回避しようとする行為のことです。
自分が置かれている状況やその責任を誰かに転化する、他者のせいにする、環境のせいにする等の行為、自分に嘘をつき、周囲の人にも嘘をつく行為です。

アドラー心理学では、ライフスタイルは自らが決めたことであり、他の誰の責任でもないので、責任の回避は「嘘」になる、と考えるわけです。

2017年8月9日

「アドラー心理学」ノート(23) 〜人生のタスク(ライフ・タスク)〜

アドラー心理学では、人が抱えている問題は、すべてが対人関係上の問題であり、人が自らの資源や使える力をうまく工夫すれば解決できるライフ・タスクであるとみなします。

アドラーは、人生のタスクからは逃げてはならないと強く主張しています。
ですから、一番いけないのは「このまま」の状態で立ち止まることであるとされます。

人生のタスクには、次のような3つのタスクがあります。このうち、愛のタスクが一番難しいとされています。

① 仕事のタスク…永続しない仕事上の人間関係のことです。
② 交友のタスク…永続するが、運命をともにしない、友達との人間関係のことです。
③ 愛のタスク…永続し、運命をともにする恋愛のパートナーや家族との人間関係のことです。

2017年8月8日

「アドラー心理学」ノート(22) 〜見かけの因果律〜

「見かけの因果律」とは、本来は何の因果関係もないところに、あたかも重大な因果関係があるかのように自らを説明し、納得させてしまうことです。
たとえば、「私が煙草をやめられないのは、父親の影響ですね」「私が非行に走ったのは、親が離婚したからなのです」といった発言はその典型例でしょう。

アドラー心理学では、前述したとおり、トラウマの存在を明確に否定しています。
トラウマは見かけの因果律に該当するとみなされるからですね。

2017年8月7日

「アドラー心理学」ノート(21) 〜トラウマの否定〜

前述したとおり、アドラーは、大事故を経験した時などに生まれる「トラウマ」を、「同じ経験をした人が皆そうなるわけではない」として否定しています(原因論の否定)。
アドラー心理学では、過去のつらい経験は、今の自分に影響を与えてはいるが、下す決断や行動には関係がないと考えます。
そして、最も重要なのは「今、何ができるかを考えること」であると考えます。

人は、原因論的なトラウマに翻弄されるほど弱い存在ではないというのが、アドラーの主張なのです。
目的論に立脚すれば、自らの人生を、自らのライフスタイルを、自らの手で選択することができます。
アドラーは、「人には能力がある」と考えているのです。

軍医として第1次世界大戦に参戦し、戦争恐怖症の患者と向き合ったアドラーは、過去のつらい出来事が人に影響を与えることをよく知っていたと考えられています。
彼は、それと同時に、過去のせいにしても幸せになれないことも知っていたのでしょうね。
それゆえ、人に対して、過去に縛られてほしくないという思いも人一倍強かったのではないでしょうか。

2017年8月6日

「アドラー心理学」ノート(20) 〜ライフスタイル〜

前述したとおり、アドラー心理学では、全体としての個人は、相対的マイナスから相対的プラスに向かって行動するとみなします。

その際、自分や他人をどう見るか、または、直面する問題をどう意味づけるかという個人の性格傾向・性格構造が問題となります。
これがライフスタイルです。
アドラーによれば、人間は、自分なりのものの見方は、主に10歳前後までに自ら選択するといいます。

ライフスタイルは交換することはできませんが、更新することはできるとされています。
ライフスタイルの更新は、変えたいと思った時に、いつでも変えることができるそうです。
死ぬ二・三日前まで更新することができるとされています。

このように、ライフスタイルは、アドラー心理学の人間理解の根本概念になっています。

人のライフスタイルを分析するライフスタイル分析は、アドラー心理学独自の技法です。
ライフスタイル分析は、治療・カウンセリングの必要に応じて行われます。

2017年8月5日

「アドラー心理学」ノート(19) 〜優越コンプレックスからの解放〜

アドラー心理学では、誰とも競争することはなく、ただ前を向いて歩いて行けばよいと考えます。

健全な劣等とは、他者との比較の中から生まれるものではなく、「理想の自分」との比較から生まれてきます。
われわれは同じ(同等)ではないが、対等という考え方にたてば競争は必要なくなるわけです。
アドラーは、今の自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値があると述べています。

「人々は私の仲間である」と実感できていれば、世界の見え方は変わってくるといいます。
すばらしい考えだとは思いますが、私はまだその域には全く達してはいませんm(_ _)m

『嫌われる勇気』の著者であり、アドラー心理学の研究者でもある岸見一郎氏は、「お前の顔を気にしているのはお前だけだ」と述べています。
DOVEが作った有名な動画を思い出す一言です。
DOVEの事例(http://blog.nb-a.jp/movies/dove-real-beauty-sketches/)

2017年8月4日

「アドラー心理学」ノート(18) 〜復讐〜

対人関係が、復讐の段階に達すると、当事者同士による解決はほとんど不可能になります。
アドラーにいわれるまでもなく、私もそう思います。
アドラーは、権力争いを挑まれた時には絶対に乗じてはならない…と述べています。

2017年8月3日

「アドラー心理学」ノート(17) 〜権力争い〜

勝つことによって、自らの力を証明したいという気持ちは権力争いにつながります。
アドラーは、人は正しいのだと革新した瞬間、すでに権力争いに足を踏み入れていると述べています。

私は正しいという確信が、この人は間違っているという思い込みにつながるということですね。
この人は間違っているという思い込みが、私は勝たねばならないという思い込みにつながっていくわけです。

本来、主張の正しさは勝ち負けとは関係なく、自分が正しいと思うなら、他の人がどんな意見を持っていても、そこで完結すべきことです。
誤りを認めること、謝罪の言葉を述べること、権力争いから降りること等は、いずれも「負け」にはならないはずです。

すなわち、優越性の追求は他者と行うものではないということなのですよね。

これも頭が痛い笑
議論して相手を論破することに快感を感じたこと…私の場合、一度や二度ではありません。
歳を重ねてからは、少し自重するようになりましたが、若い頃…というか、つい最近まで、「優越性の追求は他者と行う」ことにしゃかりきになっていた自分が恥ずかしいです。

2017年8月2日

「アドラー心理学」ノート(16) 〜敵を作る〜

アドラーは、対人関係の軸に「競争」がある限り、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れられないと考えました。

劣等コンプレックスや優越コンプレックスにあるとき、人は、他者全般のことを、ひいては世界のことを「敵」とみなすようになります。

他者の幸福を「自分の負け」だと捉えるから、祝福できなくなるわけですね。
「人の不幸は蜜の味」という諺を思い出してしまう考え方です。

2017年8月2日