「アドラー心理学」ノート(21) 〜トラウマの否定〜

「アドラー心理学」ノート(21) 〜トラウマの否定〜

前述したとおり、アドラーは、大事故を経験した時などに生まれる「トラウマ」を、「同じ経験をした人が皆そうなるわけではない」として否定しています(原因論の否定)。
アドラー心理学では、過去のつらい経験は、今の自分に影響を与えてはいるが、下す決断や行動には関係がないと考えます。
そして、最も重要なのは「今、何ができるかを考えること」であると考えます。

人は、原因論的なトラウマに翻弄されるほど弱い存在ではないというのが、アドラーの主張なのです。
目的論に立脚すれば、自らの人生を、自らのライフスタイルを、自らの手で選択することができます。
アドラーは、「人には能力がある」と考えているのです。

軍医として第1次世界大戦に参戦し、戦争恐怖症の患者と向き合ったアドラーは、過去のつらい出来事が人に影響を与えることをよく知っていたと考えられています。
彼は、それと同時に、過去のせいにしても幸せになれないことも知っていたのでしょうね。
それゆえ、人に対して、過去に縛られてほしくないという思いも人一倍強かったのではないでしょうか。

2017年8月6日